見出し画像

『短歌往来』2023年11月号

やわらかなポルトガル語の鼻母音はなにかを祈るような響きだ 松岡秀明 各言語ごとに音は異なる。主体はポルトガル語を解する人。微妙な鼻母音に祈りに近い響きを感じとっている。ある言語を母語とする人の心象の類似性を感じさせるのは、音の力なのかもしれない。

②「アフターコロナ禍のハードワーキングを読む」
松岡秀明〈都心のメンタルクリニックで外来診療を行なっている。日本語以外では英語とポルトガル語で診療をしているが、さまざまな国の人がやってくる。(…)問診はやはり母語の方がありがたいという人がほとんどだ。〉
 患者としてはそれは母語で相談したいだろう。精神科医で英語とポルトガル語が話せるって…!メンタルクリニックの問診が出来るとは相当高度な言語操作力だ。尊敬の一語だ。『天啓』も医療繋がりでの著作だったのか。本当にすごい人はいるものだ。

ベトナムのサトウキビ工場に売らむとす黒くつやめくコンベヤチェーンを 梅原ひろみ 中小企業の海外展開アドバイザーという職業名の下に読む、この硬質なモノ感。ヤワな叙情に縁の無い潔さ。機械を作る中小企業とそれを欲する国。現実の強さが一首を支配する。

④「アフターコロナ禍のハードワーキングを詠う」
梅原ひろみ〈一言で中小企業と言っても千差万別。実に様々な会社がそれぞれの事業を行っており、毎年の新しい出会いが中々に楽しい。〉
 カッコええわ。旅行でしか海外に行ったことが無いから、働くことは想像もできない。

2023.11.25. Twitterより編集再掲

この記事が参加している募集

今日の短歌