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『うた新聞』2024年7月号

①『私の暮らすまち』小西美根子「仁徳さんの街」
〈仁徳陵は三重の堀に囲まれ、宮内庁が管理しているので、もちろん入ることはできないが、昔は斜面に住民が勝手に畑を作ったり、堀で魚を釣ったりしていたこともあったらしい。〉
 思わず笑った。いいかげんというか大らかというか。そういう牧歌的な時代は結構長かったんだろうなと思う。他にも散策に楽しそうなところが多く紹介されている。
 先日現代歌人集会の春季大会でお邪魔した堺。今度はこの記事に書かれているところをゆっくり訪ねてみたい気持ちになった。

②松澤俊二「短歌ほぼ100年前」
〈松田景三「短歌批評虎の巻」が掲載されたのは1928年7月の「短歌雑誌」である。(…)この文章は、歌の批評時にしばしば用いられる常套語を集めた一種の紋切り型辞典で(…)〉
 これも笑える。歌の批評は「師」だけがする時代から参加者が互いに評する時代に変わりつつあった。時代の変化に追従するためのマニュアルが登場するというのは、人間の本質的な傾向なのか、日本人に特有の傾向なのか。作る方も使う方も大真面目だったんだろうと思うと面白い。
 なぜ歌会での評のスタイルが変わったのか?その辺りの松澤の分析はとても鋭く、納得がいくものだ。鋭く、深いけど平易で面白い。松澤の論は常に読み応えがある。

③作品時評「花が鎮めるもの」
 6月号の作品から椎名義光、中川佐和子、谷川由里子氏ら10人の13首を鑑賞しました。慰霊の日を詠んだ歌に感動しました。ぜひお読み下さい。

2024.7.14. Twitterより編集再掲

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