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『歌壇』2024年6月号

書き損じや黄変コピーめぐらせる春の佳き日よ ひと生(よ)は紙片 佐伯裕子 紙類の片付けをしている。捨てるかどうか読んで決めていたのではいつまでも片付かない。結句のような感慨が出てくるのだ。春の一日が紙に埋れて暮れてゆく。掴みどころのない空しさがある。

苦しみは分かち合えざりわがものでなき苦しみを苦しみて見つ 駒田晶子 他人の苦しみをわがことのように感じようというのは所詮理想論。自分のものではない苦しみを苦しみながら見ている。それは自分が同じように苦しめないことに対しての苦しみなのだ。

2024.6.18. Twitterより編集再掲

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