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『短歌往来』2023年8月号

①秋葉四郎「車の思い出」
〈(佐藤佐太郎と行動を共にすることは)歌人として多くを学ぶ機会でもあった。例えばビートルズの詩について、神島の佐太郎歌碑除幕式に同道したとき、宿にあった「俳句」7月号(昭和53年)を読まれ、翌朝なかなか面白かったと話された。『俳句と西洋』(佐藤和夫)なんかいい。ビートルズなんかの詩を俳句と関連付けているんだな。あれで結構本物の詩人なのか、などという会話があった。〉
 佐太郎がビートルズの歌詞について言及しているとは!「あれで」とか言いつつ、結構褒めている。お宝ネタ。もっと聞きたい話だ。

あきらめにもつと似てゐたはうがいいシロツメクサのやうに祈りは 染野太朗 語順で読みが深まり、情感が増す。「あきらめにもつと似てゐたはうがいい」と「シロツメクサのやうに」の両方が「祈りは」という結句に掛かっている。「祈りは」はまた、主語でもある。

「赦せない」ふいに言葉に出すわれをもう一人のわれそっと見つめる 三原由起子 怒りが心の中で高まって、ふいに口を衝いて出る。感情に駆られる自分を、もう一人の自分が見守ってくれる。だから心の平衡が保てる。憎しみに絡めとられるのを止めてくれるのだ。

どちらかが消えれば消えてしまうから搦め取られて執着となる 三原由起子 「どちらか」は自分と相手と取った。そのどちらかが消えてしまえば、消える感情だと分かっているが、今はそれに搦めとられている。感情の中でも一番やっかいな、執着に囚われているのだ。

2023.8.9.~10. Twitterより編集再掲

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