『滸』5号
①奥田亡羊「広く深いパースペクティブ」
〈評論を一読した後、高良氏に「一冊の本に書くべき内容だ」とお伝えした。〉
2022年の現代短歌評論賞受賞の高良真実の評論について分析した論。とても意義あることだと思う。
受賞論文にはその著者の大事な論点がギュッと詰まってるから、それについて論じられればられるほど、著者はフィードバックを得られる。奥田の論の引いた部分は私も実にそう思った。
②高良真実「新かな口語歌集中の文語助動詞に関するレポート」
これ、滅茶苦茶面白かった。この論を囲んで何人かで真剣にしゃべりたい。文語口語は議論が進んできたかもしれないが、旧かな新かな問題がまだほとんど誰も論じてない。これがまず切り込む論になるのではないか。
〈文語助動詞使用頻度トップ3は(…)〉〈「ぬ」はやはり、手軽に「た」を代替するものとして用いられていると考えてよさそうだ〉〈推量と詠嘆が駆逐されたのに対し、完了の助動詞が生き残っていることは、改めて文語における時制表現の多様性を示すものであると言えよう〉
自分の一番気になる論点を引いてみた。一つ一つの論点だけでも、誰かと語り合いたくなる。この高良の発言の背後に膨大な量のデータ処理があることを本誌を手に取ってぜひ多くの人に見てほしい。
2023.12.26. Twitterより編集再掲