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有吉の壁からゴスペラーズ沼への片道切符

これはあるひとりの人間が、ゴスペラーズ沼にドボンした瞬間を詳細かつ鮮明に記録したドキュメンタリーである――。


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すべての始まりは、『有吉の壁』だった。

2021年3月3日、日テレで放送中のお笑い番組『有吉の壁』で、ジャングルポケットと見取り図の二組がゴスペラーズのモノマネを披露した。

最初、雰囲気はそれっぽかったのだが、後半にまさかの“ご本人登場”。そこで本家が歌ったら一瞬で「ジャンポケと見取り図、やっぱり全然ダメじゃん!」と確定してとてもおもしろかった。

その後SNSにモノマネした五人とご本人全員が並んだ写真がアップされ、「ゴスペラーズ良い人だな~」と思いつつ、その日はお風呂に入って寝た。


後日、何もする気が起きずYouTubeを徘徊していた夜、おすすめにJUJUの『やさしさで溢れるように』が出現した。それはTHE FAST TAKE(様々なアーティストが一発撮りしたパフォーマンスの動画をお届けしてくれる人気YouTubeチャンネル)から配信されたもので、「これは昔から好きな曲だ、聴こう」と動画を開いた。

(ゴスペラーズ関係ないけどすばらしいから貼っておくよ)

視聴後、ふと「THE FIRST TAKEってほかにどんな人たちが参加しているのかな?」と気になり、調べる。これは私が年をとってきたせいなのだが、ほぼ存じていない若きアーティストがほとんどだった。

動画一覧をスクロールする。そして私はみつけたのである。「ゴスペラーズ」という見慣れた文字列を。

脳裏によぎったのは、あの有吉の壁。「たしかあのとき歌っていた曲も『ひとり』だったよな」と思い出し、ほんの軽い気持ちで動画を開いた(始まりとは、時として終わりと同義である)

「愛してる」って最近 言わなくなったのは
本当に あなたを愛し始めたから

――『ひとり』/ゴスペラーズ

この動画を視聴した後の私「神の集いか?」


コメント欄をのぞいたら、有吉の壁でモノマネしていた見取り図のファンの方々が口をそろえて「ごめんなさい」と謝罪している。どうやら見取り図のYouTubeチャンネルに「見取り図が仲間たちと『ひとり』をTHE FIRST TAKEした動画」があるらしいと知り、観てみた。

謝るきもちわかる。

見取り図と仲間たち、ひどすぎて爆笑してしまった。シンプルに雑音。この後にもう一度本家を聴くと、ただでさえ神なのにより高みにいる神に思えるという相対効果が発生し、私は「もっとゴスペラーズ聴こう!」となる。こういうやつもいるので見取り図のことを嫌いにならないでください(?)


そして次に聴いたのが、同じくTHE FIRST TAKEから『VOXers』。しっとりバラードな『ひとり』とは対照的な曲調で、自己紹介ソング(たぶん)。

この動画を視聴した後の私「低音パートの人(動画サムネイル右から二番目)、かっこよさえぐいな!!!!!」

ゴスペラーズの個人名を知らなかった私は、急いでWikipediaを開いた。低音パートの人、北山陽一さんって言うんだ!

最初からベースパートやってたわけじゃなくて鍛えてできるようになったんだ!慶応大学で非常勤講師もやってるの!?まって昔一回脳腫瘍の手術で休んだことあるの!?!?

え~~~ッ乗り越えて生きててくださりありがとう~~~!!!!!

「生きててくれてありがとう」と思ったならば、
その相手はあなたにとってすでに尊き“推し”である。

――2021/03/20 私


格言めいた言葉を脳内に走り書きしつつ、休むことなく次、おすすめに出てきた『VOXers』のMVをチェックすることにする。ついでにゴスペラーズにも公式YouTubeチャンネルがあると認識しながら。

なんやこの独特の世界観。

まったく関係ないけどゴールデンボンバー『やんややんやNight』のMVを思い出した。熱出してうなされているときに見る夢みたいなやつ。

…とTwitterでつぶやいたら、ゴスペラーズファンの方がゴスペラーズのCMにゴールデンボンバーが出演したことがあると教えてくださった。なあああああんそれ。

私は神の手の上で踊らされているのか?それこそゴスペラーズという神々の手のひらの上で、やんややんやと――。

めちゃくちゃセンス良いCMだな。


MVだと歌に集中できないのでTHE FIRST TAKEに戻り、コメント欄を漁る。すると北山さん推しとみえる方が「北山さんはリードボーカルになると美しく透き通った歌声になる」と書いていた。この方はたぶん神に遣わされて啓示をもたらす天使か何かだったんだと思う。

私はここでついに、人生初の音楽サブスクに登録。コメントに書かれていた「北山さんがリードボーカルになる曲」を視聴。最初に聴いた曲は『月光』。

沼に、入水~~~~~!!!!!(cv.IKKO)


「ギャップにめためた弱い」のは私という人間のデフォルト性能。そこに「かっこいい低音ボイスを響かせている人が高めな甘い声でも歌える」なんてわかりやすすぎるギャップを持ってくるんじゃないよ。困るに決まっているじゃん。ホント勘弁してくれ。大好き。

北山さんのリード、「暗闇に差しこむ一縷の光」みたいな儚さがあって良すぎる。(嵐の大野くんやV6の岡田くんの歌声も好きな質なのだが、大きく括ると系統は同じなんじゃないか。「甘さと切なさ」を含む憂いを帯びた歌声。つまりそもそも私が北山さんに落ちないわけがなかったってことよ。)


そして次に聴いたのはこれ。あまりMVが公開されていないゴスペラーズ公式チャンネルにあった数少ないMVのひとつ。直感的に選んだ『In This Room』。

この動画を視聴中の私「おやおや」

北山さんの眼があまりにも“本能的”で頭を抱える。

私は怒ってます。「ゴスペラーズは踊る」「ゴスペラーズはエロい曲も歌う」って、どうしてあらかじめ教えといてくれなかったんですか?ほら、ここにご遺体(=私)が出ちゃったじゃないですか。これは科学じゃ解明できない死ですよ。


ここらでTwitterを介しゴスペラーズファンの方から「北山さんに落ちたなら“椅子”を観ろ」とご教示いただいたので、観た。(↓再生開始位置指定済み)

観た私「あ~~~はいはい、椅子になりたいってやつね」(一周回って冷静)

上の動画では一瞬なので、このときのライブレポートや関連記事を漁ったわけですが。「椅子を女性に見立ててね」と指示があっただけで、あとはメンバーそれぞれの自由だったとのこと。

そうだとしたら北山さん、えぐいって。R指定とかつけなくて大丈夫か?まったく……無機物に嫉妬させてくれるなんてねぇ……。


さらに公式を辿ってたどりついたのはこれ。『SING!!!!!』。低音北山さんも高め甘め北山さんも聴ける。すばらしい。拍手喝采。もはやシルエットだけですでにかっこいい。

これがヒャダイン氏プロデュースと知って思い出した。

そもそもゴスペラーズをそこまで遠くに感じていなかったのは、『関ジャム』で観たことがあったからだ。村上さん(サングラスの人)の発声タイプはフリップだね~とかやってたわ。音叉を使っているカッケェ北山さんも見たことあったわ。

経験上、「深層部に記憶が眠っている状態」が一番危ないのよ(沼落ち的な意味で)。うっすら抱いた好印象は、何かのきっかけで目覚めると「語彙力を砕くほどの推し愛」に変貌を遂げる可能性が高いのよ。

この日ちょうど『MUSIC FAIR』にゴスペラーズが出演していたため、当然のように視聴。北山さんは現場に車で来たのにタクシーで帰っちゃうおちゃめさんだと知った上で、私は生まれたてのゴスペラーズ推しで北山推し――この界隈の言葉で「ゴスマニでキタマニ」となったのであった。

(『MUSIC FAIR』のテーマ曲を歌っているのもゴスペラーズとは知らなかった……これが噂のサブリミナル効果か? #これが噂のとは #絶対ちがう)

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さて、この過程を2021年3月20日春分の日にTwitterで実況中継していたのだが、ゴスペラーズファンの方から私としてはものすごい数の反応をいただいた。沼落ち報告だけでいいねが100超えるとは思わないよふつう。

『北極星』『金色の翼』『astro note』『やさしさに包まれたなら』『Armonia』『Love me! Love me!』『東京スヰート』『ハーモニオン』『Beginning』『砂時計』『虹』などなど、キタマニが聴くべき曲をたくさん教えてもらった。みんなどんどん教えてくれるから、逆にこっちが追いつけないぐらい(褒めてる)。

そしてやっぱり死体が出る。コナンもびっくり(?)

…とこんな感じで、たくさんの方々が直接あるいは遠隔的に情報をくださるおかげで、快適な沼ライフを始められた。ゴスペラーズファンやさしい。ファンがやさしいってことはゴスペラーズもやさしいに決まっているのよ。

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Special Thanks
◆Twitterで沼落ちを歓迎してくださったゴスマニの皆さん
◆Twitterで情報をくださったゴスマニの皆さん
◆キタマニの入門書といえるこちらのnote

noteは非会員でもスキ(♡マークをタップ)できます。ぜひしてくれると嬉しいぞ!

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とにかく、一度ライブ行ってみたいな。楽しそうだから。


【2022/04/29 追記】
ついにライブ行きました!!!!!



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