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旅先で再び動き出す友との時間

「贅沢な時間だね」
私たちは目を合わせて微笑み合った。

友との再会。

彼女とは独身時代に仕事で知り合い、器と骨董好きという共通の趣味で気が合い、連絡を取り合うようになった。
住む場所が九州と東京と離れながらも、一緒に国内や韓国を旅し、よく話し、笑いあった。

彼女も私も同じころに結婚、一年違いで子を授かった。
それからはお互い忙しくなり、報告し合うことはあってもなかなか会えなくなった。

それから10数年。子どもが成長し、「また一緒に旅をしたいね」とどちらからともなく声が出た。

「私が案内したいところがあるから」と大分に誘ってくれた。
おいしい料理、温泉、紅葉、石仏。
滝廉太郎「荒城の月」の舞台となった岡城址を、二人でそぞろ歩く。

また近しく睦び、心寄せ合う。

岡城址には積み上げられた石垣があり、上ると開けた景観が望める。
多く語らなくとも、お互いの心が開ける。

かつてよりも静かな心持で、二人で光射す方向を見つめた。


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