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大企業役員が退職後失敗した起業


 大手のメディア系企業の役員だったKさん、会社では、出版系の仕事で名をはせ、編集長になった時に手がけた本が、評判になりベストセラーになったこともありました。

退職後に会社を設立

企業人だったときに、ステークホルダーなど豊富な人脈ができたKさん。
自分が「これがいいわよ、これを買って」と言えば、自分が役員だった頃にお付き合いのあった人や会社が買ってくれるから、何を売るかもまだ決まらないうちにまず会社を作ったのです。

 

彼女が考えたのは、「雑貨の輸入販売」

「世界を旅行しながら、売れるものを探すの。私は旅行が大好きでしょ。自分で探すのもいいけど、全部網羅できるわけじゃないから、知り合いがヨーロッパにも、ハワイにも住んでいるから、コスメや雑貨でいいなあと思ったものを推薦してもらって調達するの」

もちろんKさんに、バイヤとしての知識や経験は全くありません。

「ほら、私には子分がいっぱいいるでしょ、そういった人たちに仕事を投げればいいのよ。夢があって楽しいわあ」

といっていました。

確かにKさんは大手企業に長年勤務し、人脈も豊富です。メディア系の会社にいたので、自分がプロデュースした有名人もたくさん知り合いです。
この方たちに声をかければ、Kさんが手がける雑貨のインフルエンサーとして一役買ってくれるに違いありません。

でも、どう考えても無理があります。
彼女の得意な業界でもよく知っている仕事でもありません。 

夢がある話は大いに結構です。
世界中を飛び回りながら、自分の好きなものを買い付ける、私だってワクワクします。

でも、自分には無謀だと思っているので自分はしません。

 

経験のない仕事は成功しない

それは、人は経験のない業界に飛び込んでも軌道に乗るまでに、果てしない時間と失敗をしなくてはいけないことがわかっているからです。

バイヤーとして買い付けスキル、語学の問題、貿易事務を委託する、倉庫を借りる、販路、流通、ECサイトの運営、

少なくとも、このようなルーチンに関する知識が必要でしょう。

いままで何の経験もないのに、全く知らない業界へ飛び込むのは、何の装備も無く、Tシャツとスニーカーで北アルプス登山するようなものです。

彼女曰く「自分がこうしたい」といえば、その専門家を雇うこともできる。なんと言ってもKさんには自慢の「豊富な人脈」があるのが自慢です。

それも「潤沢にお金がある
事を前提にしないと、すべて専門家に任せていてもお金が出て行くばかりです。

もう一つの問題は、自分がマネジメントできる知識がないと、横の連携、お金も時間も全くわからずに人の言うなりになってしまいます。
マネジメントは、業務知識があって初めて発揮できます。何の知識もなかったら、価格が正しいかどうかさえわかりません。

 結果、輸入したものの価格に跳ね上がり、全く魅力的ではない価格の商品を販売することになり、うまく調達できたとしても市場での苦戦が予想されます。

大企業病

 「大手の役員だった」その人脈は昔のものです。大手企業のふんだんな資金と人がいるからこそできた仕事も、一個人となっては、何の効力もありません。
それにKさんが、その大手企業にいたから、下手に出て付き合っていてくれた人もいるはずです。

 退職後すぐに自分の価値感が変わるわけではありません。これを引きずったまま、個人として起業するのは危険なこと。

よく人はこれを残念ながら「大企業病」と呼びます。
その話から5年。彼女が未だに自分の会社で目立った売り上げはない様子。

先日会ったら

「大和ちゃん、会社ってお金がかかるのね」

「一度休眠したらいかがですか?」
なんてお話をしたところです。

Kさんのような業界では有名な方でも、個人の力には限界があるんだなあ、と自分としてもちょっとびっくりした事例でした。

一個人の起業はゲリラ戦です。お金も人もふんだんにないのが前提。
自分の知恵と
「全く違う新しい環境の中で挑戦していくんだ」
その意識変革が、大企業病の克服に繋がるようです。

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