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[白熊杯:俳句] 勝手に大橋ちよ賞

これは私が勝手にやってる私設賞です☆

◎俳句編

投句された作品の中から、詠み人を伏せた状態で「好き💖」と思ったものをピックアップしました。

※順番は投稿順です。

◎勝手に金賞


結晶を作れぬままで雨落ちる

詠み人:月夜案山子さん

受け取り側によって様々な物語が千差万別に妄想されるすばらしい句です。

落ちてきた雨にみなさんは何を想うでしょうか。

地球の大気が織り成すダイナミックな営みに想いを馳せたり…
雨粒に自分の人生を重ねてみたり。

どこか哀愁のただようこの句が私は大好きです。



会話なく歩く二人へ鎌鼬

詠み人:美味しい蒸しエビさん

冷たい空気。何かちょっと気まずい感じの二人を茶化すように突然の突風。

そんな場面が目の前に見えるようでした。

鎌鼬かまいたち。個人的にとても好きな妖怪です。

冬の季語なんすね。

鎌鼬と聞くと私は映画『帝都物語』の中で、桂三枝扮する風水師が「お嬢ちゃん、かまいたちだ!」と叫ぶシーンを思い出すのです。

会話なく歩く二人…どちらかはお嬢ちゃんでしょうか…。
私もこの俳句の中に入り込んで「お嬢ちゃん、かまいたちだ!」と叫びたいです。



夜神楽の農夫は神になりにけり

詠み人:鮎太さん

土着の民舞とか神楽がすごく好きです。
記事を拝見しましたら、鮎太さん舞い手を経験されたとことがあるとこのことで、ますますこの句が生き生きとして感じられました。

私も鬼剣舞や御神楽など踊ったことがあるのですが、踊り切るのは身体的にもすんごくきついんですよね。
だもんで、踊っているうちにトランス状態となっていきます。

これは、マジで神に触れる踊りなんだなと思った記憶です。

普段は普通の人間として生活している村人が神になる瞬間。

お祭りで踊っている場面に遭遇すると、血沸き肉躍るというか、何かDNAの一部がざわつくような感覚がします。

そんな自分の奥底に潜む何かを刺激される一句でした。



◎勝手に銀賞


酔いつぶれ知らぬ誰かと冬の朝

詠み人:みゆ💕あなたにきゅん♡をお届け⭐さん

これは…ありましたね~あはは~。

私は下戸なのですが、飲めないのに飲んでたころは、誰でも連れ帰る癖がありました。
ガードがばがばもいけませんね。

そんな青春時代を思い出させてくれる一句でした。



万華鏡廻り廻るは六花

詠み人:七田苗子さん

万華鏡。自分でも作るほどに好きです。
ずっと見てられますね。

雪の結晶はシンメトリー。それがさらに万華鏡に入ったところを想像して、むはぁ~となった一句でした。

同時にビートルズの『Lucy in the Sky with Diamonds』が聴こえてきました~。



おじさんもそでキメるかん

待牌まちはい足指あしゆび掘炬燵ほりごたつ

詠み人:月草さん

この二つの句は雰囲気がとても違っていて、どちらもすばらしいです。

萌え袖の句は、現代的で斬新な句で大好物です。
萌え袖キメてるのがおじさんであり、そして季節を表す言葉が「寒の入り」という古風な言葉。
すべてが ちぐはぐ でありながら、まとまっているのが本当にすごい。

待牌の句は、絶妙な心理を「足指に聞く」に込めた俳句ならではな感じのする句です。
炬燵の中っていろいろな思惑が渦巻いていそうですね。
麻雀はお遊びでしかしたことがありませんが、考え込んでる相手の顔を見るのが好きです☆



外は雪 紅茶とマフィンきみとぼく

詠み人:moeさん

この情景から、いろいろなシチュエーションが考えられる面白い句だなと思いました。

紅茶とマフィンを前にして、きみとぼくはどんな関係なのかなとあれこれ妄想しました。

温かい関係なのか…それとも。

私には何となく、「きみ」の心を推し量っている「ぼく」が見えました。
「きみ」のことを知りたいけどよくわからない「ぼく」。

紅茶とマフィンを前に、窓の外を見ている「きみ」。
それを見ている「ぼく」。

そんな情景が思い浮かびました。
外が雪なのがまたいいですね。



けふ逝きてけふ逝きてあたらしき年

咲わらふ児童養護施設福笑ひ

詠み人:MITEI NARICO🔰さん

言葉に宿る迫力が、すごいです。
名前を伏せて選びましたが、どなたの句か解ってしまうほどに。

「それでも私は生きていく」

そんなサブタイトルをつけたくなるような句です。

保育園で子供たちがゲラゲラ笑いながら福笑いをやっているのを見たばかりで、それから、児童養護施設の子供たちと会う機会がちょっとあったりしたのですが、あの子たちも福笑いやったかなーと思ったりしました。



たばこ屋の たばこのない棚 冷たい風

焦げた看板に 読めない文字 冬

詠み人:じょーじさん

ものすごいスピードで移り変わっていく時代に、取り残されたように佇む昭和の建物を想像しました。

錆びれた商店街に行くとこのような光景に出くわします。
時空の狭間に迷い込んだような、そんな場所が私は好きです。

この句からそんな風景を想像しました。



大丈夫蹴飛ばした嘘息白し

癒えぬ傷なお生きてゐる日向ぼこ

詠み人:riraさん

柔らかい情景にそっと落とした心の陰が絶妙な句です。
癒し系の絵柄でえぐい物語を語る漫画のような、そんな奥深さを感じます。

この句を読んで「私がぎゅとしてあげるっ!!!」って思った人も多いのではないかしら。



六年目なわとびついに飛べました

詠み人:セブンソードくん

これは…もう、胸にぐっとくる一句です。

六年間、ずっと練習してたんだろうなって思いを馳せます。
子供にとっての六年間がどんなに長いか。人生のほとんどですよ。

大人になると引き際の美学みたいなことも言われますけど、ひたすら続ける美学ってのもあると思うんですよ。
続けていないと到達できない場所があります。

私の息子は6歳ですが、まだ両足でジャンプできません。
いつかうちの子も縄跳び飛べるかなーってほんわかと思いました。



ムードなく嫁に𠮟られひめ初め

詠み人:秘め始さん

ムードって大事ですよね。出しすぎでも引きますしね。
ってそういう話じゃないですね。

なんだか面白い浮世絵にしたいような一句でとても好きです。
独特な哀愁と可愛らしさがあります。



戦争は終はるだらうか冬の空

詠み人:うみのちえさん

遠くの空を不安げに見上げている後ろ姿が思い浮かびました。
80年前の日本と今がシンクロしてるような。

ヒタヒタと忍び寄る戦争の気配。
そんな今を肌で感じるような一句でした。



水仙や待ち人来ずの地蔵花

葉牡丹の渦に包まれ忘却す

詠み人:宿仮さん

水仙の句は、いろいろな情景を思い浮かべることができる句かなと思いました。
待ち合わせしている人が来なくて心もとない時間、お地蔵さんにちょっと気持ちを寄せてみてるとか。
「待ち人来ず」…運命の人に出会えず…なのかなとか。
お地蔵さんが寄り添っている感じが好きです。

葉牡丹の句は、SFでファンタジーでサイケデリックな句だなと思いました。
渦の中心に吸い込まれて、うわ~っと忘却なの彼方へと吸い込まれている映像が浮かびます。
音楽をつけたい感じ!



微温湯で洗ふ夢精や寒の入

詠み人:菊池洋勝さん

夢精の俳句に私はパンク魂を感じます。
秘密のベールをビリビリ~と引き裂いて覗き見る世界。
生生しい命の情景。

みんなの心の中にあるプライベートな瞬間を思い起させちゃう、スルーできない一句なのです。



冬の朝寒くて凍るぼくの耳

詠み人:ヒビキングさん

凍るよね~耳。
ストレートに冬の寒さを詠んでいて心が洗われました。
全く無駄のない句がすばらしいです。



転勤の辞令一枚冬銀河

詠み人:よこがおさん

一枚の紙でやってきた「転勤」といういろいろ大変そうな辞令が、冬の銀河の果てしない空間に飛んでいくような…なんだか勝手に幻想的で壮大な映像を思い浮かべました。

「てんきーーーーん!?」という声が冬の夜風に響いていきそうです。



絵馬の誤字笑って許す冬の神

日向ぼこ無口な祖父の膝の上

詠み人:めろさん

どちらもほっこりする句でした。

絵馬を見るのが結構好きです。
みんな自由に書いてて面白いんです。
神様がクスッとなってる姿が目に浮かびました。

祖父の膝の句は、乗っているのは、猫か孫かな~と思い描きました。
こちらも情景が目に浮かぶ一句で好きです。



雪蛍主はいない象舎かな

詠み人:ichihoさん

井の頭動物園によく行くのですが、象のはな子さんが亡くなって、象舎はがらんとしています。
なので、この句は胸にぐっときました。

はな子さんの気配がまだあるように感じるんですよね~。



以上で私の勝手に賞はおしまい☆

今回もすばらしい句がいっぱいでした。
ありがとうございました!

▼勝手に賞、本当に楽しいのでみなさんぜひ~。

俳句はわからない~っていう人こそ、感性で選んでみてほしいのです。
ステキな出会いもあるよ。

私はみんなの推し句が知りたい!!!

▽白熊杯 は絶賛予選中。

通りすがりでも「スキ」して投票できるのでぜひ。
こっちは1/30 20:00まで


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