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受験を控えた高校生にふりかかった災難 |2千円分図書券の活用

とある朝の会話


自宅を出る時間まであと10分・・

朝の5分10分は貴重だ

自転車通学のボクは、家を出るまでの
束の間・・ソファに座りくつろいだ。

いつもは慌ただしく家を出るのに
今日は少し早起きした甲斐があった。

ふとカバンに入っている包装紙を思い出す。

白地に花柄模様の包装紙を丁寧にはがすと
中には「図書券」と印字された白い封筒。

中身を確認すると2千円分の図書券が入っていた。

「ふ〜ん、塾に友達紹介すると
2千円分くれるんだね」

隣りでスマホをチェックしている母親に
何気なく話しかけた。

「そうだね、紹介した人された人両方にね」
そう返事が返ってきた。

「じゃあアイツももらったんだ、、」
小声で呟いた。

「もらえてよかったね」
呑気な言葉で返す母親に
ケイのことを話してみた。

「塾に紹介した友達ってケイなんだけどさ」
同じクラスのケイのことを母は名前だけ知っている。

同じクラスで仲良くしている4人うちの1人。

「アイツ電車通学なんだけど、
満員電車で大変な目に遭ってさ」

「え!なに?」
予想通り前のめりで聞いてくる。

「ゲキコミの電車でさ、隣に立ってた
おじさんの水筒の蓋が緩んでて
電車の揺れでケイのカバンにお茶が
バシャッて思いっきりかかって大変だったって」

「ええっ!酷いね、、」
母が口元を押さえて顔を歪める

「うん、酷いなんて時限じゃなくて
鞄の中の参考書、ほぼ全部濡れたし」

「それで、どうなったの?」

「一応、相手は謝ってくれたらしいけど、、
ケイ、、頭真っ白になって名前も電話番号も
聞かずにそのままだって」

「かわいそうだけど
そのおじさん謝るだけで済ませたのか・・」

参考書は一冊2〜3千円くらい。
受験生にとっては今まさに大事なもの。

びしょぬれの参考書は何冊だっけ?
4冊だったかな・・

納得いかない顔の母を横目に時計を見て
そろそろ家を出なければと、、

「大した足しににはならないけど
この図書券はケイに渡そうと思って」

そう言って家を出る準備をした。

玄関を出ると青空が広がり
暑くもない寒くもない丁度いい晴れ。

自転車でいつもの道を走らせた。

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ことの経過


この話は次男と私の会話です。

息子目線で書いてみました。

クラスメートのケイ君(仮名)が
朝の満員電車で通学中、鞄と鞄の中身の
参考書がずぶ濡れになる・・
という悲運に見舞われた話です。


会社員と思きおじさんの緩んでいた水筒の蓋が
電車の大きな揺れでお茶が勢いよく飛び出てしまったそうです。

おじさんも故意に水筒の蓋を緩めていたわけではないでしょう。電車の大きな揺れも、これまた仕方ないことでしょう。

そして、ずぶ濡れで使えない状態になった参考書を前にケイ君は途方に暮れたことでしょう。

私は次男に「自分がK君だったらどうしてた?」
と聞いてみました。

次男曰く、その場で番号交換(携帯)して
その場で着信確認してると思う。
こう話していました。

参考書の状況を相手の方にきちんと
伝えられると良かったかな、、と思います。

しかし予期せぬ事態にあったとき、頭が真っ白になり、言うべきことを伝えられない気持ちもよくわかります。

「ケイは、優しくて控えめなタイプ。
水筒おじさんにしてみたら謝れば終わり、、
って甘く思われたのかもしれない」(次男の考え)

受験生にとっての思わぬ出来事は
その子のやる気にプラスにもマイナスにも
なり得ますね。

そして、最終的には
気持ちの切り替えが何より重要です。

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後日談


落ち込んでいたケイ君ですが
次男は図書券を渡しながら
「これでマンガ本でも買って読みな!」
とふざけたところ・・

大笑いしながら
「いいの?」と言い
喜んでくれたそうです。

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お読みいただき
ありがとうございました😊


そのお気持ちに感謝します😊