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年を取ってからパートナーを大事にしても遅い

つい最近、「年を取ってからパートナーを大事にしても遅すぎる」と痛感するできごとを見てしまった。

長年妻を大事にしてこなかった夫が、後年妻に手痛い仕返しをされる形になったケースだ。

今妻(夫)を粗末に扱い、妻(夫)の気持ちをないがしろにしている夫(妻)の皆さん。これからお話しするケースを読み、同じ末路をたどる原因となり得る妻(夫)への言動がないかどうかをよく振り返ってみてほしい。

理性と分別ある良妻が突然の病でナーバスに

私がよく知るある女性は、高齢者になるまで病一つせず生きてきて、心身ともに高齢者とは思えないほど若々しく、非常に気配りのきく好人物であった。

50代で2つも難病を抱えてしまった私は、「なんとうらやましい」と思っていた。

しかし女性は最近ごく軽い症状の病にかかったのを機に、坂道を転がり落ちるように体調を崩し、精神的にもかなりナーバスな状態に陥った。

そして、周囲が驚くほど一気に老けこんで、周囲に愚痴と文句ばかりいう嫌なおばあさんになってしまったのだ。

ちなみに、彼女は「認知症ではない」という診断を医師から受けている。

女性を献身的にサポートする夫。でも女性は……

そんな状態の女性を、夫は献身的に看護している。その姿は、はたから見ればとても尊いものだ。自分がその立場なら同じことができるか?と聞かれてもYesと答える自信がない。

ところが、女性はそんな夫に感謝するどころか、自分のために動く夫に文句ばかり。どれだけ夫が献身的に接してもそれをねぎらうこともない。夫への感謝の気持ちなどかけらもない感じなのだ。

夫はそんな女性の態度に疲れ果て、いつ倒れてもおかしくない状態。子どもたちもそんな両親を案じてサポートしているが、事態は一向によくならない。

「女性が夫に感謝しない」理由は過去の夫への恨み

でも、この夫婦の若い頃を知る人間は、「それも無理もない」と考えている。

その理由は、現役時代の夫が妻を大事にせず、さんざん妻を泣かせてきたことにある。

この女性、もともとは非常に理性的で賢く、夫の後を三歩下がって歩くような良妻だった。それをよいことに夫は傍若無人の限りを尽くしてきた。

若い世代の妻なら即離婚に至りそうな狼藉をほぼ全て網羅するようなわがまま勝手ぶりで、妻を泣かせつづけてきたわけだ。

当然ながら妻はそんな夫への恨みを腹にため込んでいたが、この年代にありがちな「妻は黙って夫に従うべし」という考えのもと、今日までずっと耐え続けてきたのだろう。

突然の病は女性の理性と忍耐を崩壊させてしまった

しかし、そんな女性の理性と忍耐は、突然の病により突然崩壊してしまった。

その結果、長年の夫への恨みが爆発し、はたから見れば非常に献身的な夫への傍若無人な態度となって現れてしまった。

夫側から見れば理不尽極まりない仕打ちである。しかし、これまでの妻へのひどい仕打ちを考えれば致し方ない。

もっと早いうちから女性を大切にしていればそんな状態にならずに済んだだろう。だからこそ、周囲の人間は夫の女性への献身ぶりを認めつつ、女性を責める気持ちにはなれない。

「年を取ってからパートナーを大事にする」では遅すぎる

この話をお読みになった男性の中には、「長年家族のために尽くしてきてその仕打ちかよ」と思う方もいるかもしれない。また、「だから女はダメなんだ」と嗤う男性もいるだろう。

しかし、そのようなことは逆のケースでも起こる可能性が十分ある。

たとえば、長年専業主婦の妻に虐げられ続けた夫が、老いてから妻を裸同然で追い出して経済的なダメージを与えるなどのケースだ。

男女を問わず、パートナーの優しさや理性、我慢などに甘えてパートナーを大事にしなければ、当然パートナーの気持ちは冷め、我慢している分恨みが募るのが当たり前だ。

体力気力にあふれた若いうちは理性や忍耐で恨みを抑えこめるが、年を取って体力気力が大きく減退すればそうはいかない。大事にされなかった恨みが先に立ち、相手を許せない気持ちを露わにしても当然ではないだろうか。

若いころさんざんパートナーを蔑ろにした人間が、年を取ってから心を入れ替えてももう遅すぎるのだ。

そうなったら、どれほど理不尽であってもそれを受け入れて添い遂げるか、孤独死のリスクを覚悟した上で熟年離婚するしかない。

それは中々壮絶な状況になるだろうが自業自得だろう。

50代までなら関係の修復はかろうじて可能

ただ、早いうちに気付いて対処すれば、そのような悲劇を未然に防ぐことは可能だと思う。

高齢者にも友人知人が多い私は身近でさまざまな夫婦の形を見てきたが、夫婦の関係が修復可能なデッドラインは50代くらい。それ以降になると先述したような形になるケースが非常に多い。

ちなみに我が家はギリギリセーフといったところだ(と信じたい)。

子どもの自立が近づいたのを機に、夫婦が子どもを抜きで、直に向き合わざるを得なくなった。

その結果それまでの相手への接し方を改めないとまずいと悟り、今はお互いに落としどころを探る努力を続けている。

そのような経験から、パートナーとの関係がぎくしゃくし始めたら一度パートナーに対する自分のふるまいを振り返った方がいいと皆さんにお伝えしたい。

そのような場合は、たぶん間違いなく相手を蔑ろにしている場面があるはずだ。

そのことに早く気付いて改めないと、後日必ず大きなしっぺ返しを受けることを若いうちから心に刻んでおいてほしい。

それが、50を超えた私より若いカップル(特に男性)にぜひ伝えたい「警告」だ。

前にも同じようなことを書いた記憶があるが、何度でも同じことを伝え続けたい。それは私自身への戒めにもなるから。

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