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【Adbent Calendar 2021 】大の数字嫌いが「仕事では数字嫌いを撤回しよう」と決めた理由

この記事は「愉快でまじめなフリーライターたちのカレンダー Advent Calendar 2021」のエントリー記事です。

私は12月21日に登録しました。今日の記事は登録時に書いたテーマに沿った内容ですが、だいぶ当初の予定と趣旨がずれています。その点につきましては何卒ご容赦くださいませ。

プロローグ

昔から数字が死ぬほど大嫌いだ。可能であれば数字と一切関わりのない世界で生きていきたい。今でもそう思っている。

しかし、2021年以降、仕事に関しては長年抱き続けたその考えを撤回することに決めた。2022年も引き続きその方向性で行くつもりだ。

この記事ではそこに至るまでの経過について、記憶を探りながら書いていきたい。

「元銀行員」の私が持つ金融知識や技術は特別なものではない

ライターになった当初、私は金融案件を全力で避けていた。先述した通り数字を見るのすら嫌なほど数字が嫌いだからだ。

しかし皮肉なことに、銀行員の経歴を買われて金融系記事のオファーが増え、今は「元銀行員・金融ライター」として仕事をしている。

たまたま前職が「銀行員」だから金融系記事のオファーが来たのは事実だが、銀行員時代の金融知識が思いのほかしっかり頭の中に残っており、時代の変化に合わせてその知識を応用できることが幸いして今も金融ライターの仕事を継続的にいただけている形だ。「昔取った杵柄」がこんなに役に立つとは。

金融系記事の執筆では、各種資料に記された膨大な数字群から必要な数字だけ読み取る機会も多いが、ありがたいことにその技術も銀行員時代に身に着いている。その点もそれなりに評価されているのは嬉しい話だ。

でも、それらの知識や技術は医師や弁護士などの専門職が持つような特別なものではない。特に、数字を読み取ることなど誰にでもできる簡単なことだと思っていた。

そのことから、私が「元銀行員ライター」として金融記事を書いてもいいだろうか?と長い間悩んでいたのは事実だ。

ここで一旦銀行員時代の話をしよう

そもそも、銀行に就職したのは単に当時銀行が「安定した職業」とされていたからだ。金融の専門知識をつけたいとか、金融マンとしてキャリアップを図りたいなんて思ったこともない。

正直言えば、銀行員はまったくやりたい仕事ではなかった。できれば避けたかったが、「安定」の2文字に惹かれて入行してしまった感じだ。(今思えば「安定した職業」などあり得ないのだが)

ただ、仕事をする上で覚えなければいけない金融知識は非常に多かったし、お金を扱う仕事だから毎日数字と向き合う必要があった。

中でも、膨大な量の数字群の中から必要な数字だけを抽出し、その数字を正確に読み取る技術は、銀行員が必ず習得すべきものであることもその時知った。

遅ればせながらその事実を認識した時、正直「とんでもない業種に就職してしまった」と激しく後悔したことは言うまでもない。

しかし、その時すでに入行して数ヶ月。当時は辞めるという選択肢が頭になく、「仕事として必要であれば仕方ない。いやいやでも数字と向き合うしかない」と割り切る選択肢しか思い浮かばなかった。

その結果、私は業務中に直面する膨大な数字を前に、「これも仕事のうち……」割り切ることに決めた。そして、必要な数字を抽出して読み取る技術を身に着けることにガッツリ取り組むようになった。

そのようなスタンスで仕事をするようになってからは仕事が面白くなり、いやいや数字と向き合っていた頃より大きく評価も上がった。

……どうやら私は「やりたい」より「やらなければ」と考える方が仕事ができるようになる人間らしい……とその時気づいた。

しかし、自分が身に着けたその技術が特別なものだと考えることは在職中には一度もなかった。

「必要な数字を正確に読み取る」は誰もが持っている技術ではないかも…と気づいた

銀行を辞めてからもずっと、「必要な数字を正確に読み取る技術」を、長年「誰もが持っている技術だ」と思っていた。金融ライターとして仕事を始めてからもしばらくはそう思い続けていた。

しかし、ある時ふと「これ、誰もが持っている技術ではないのかもしれない」と思い始めた。

実はそのことに気づいたのはつい最近の話だ。

去年の半ばあたりから家計調査などの数字をテーマにした記事のオファーが増え、その仕事を受けて数字を読み解く作業を繰り返すことが続いた。その作業の中で、自分がいとも簡単に必要な数字を読み取っていることに気づいたのだ。

その瞬間、銀行員時代はもっと要領よく必要な数字を読み取っていたことを思い出し、当時どうしていたのかを記憶の奥底から掘り出してみた。

その結果、必要な数字だけをさらに素早く読み取るコツを完全に思い出し、それを実践したら数字の読み取り速度が一気に上がったことを実感した。

それと時を同じくして、複数のクライアントから私が数字を読み取る技術の高さをほめていただく機会があった。

その時、「これ、自分の強味になる」と確信した。

それならせっかく身に着いた技術を強みとして生かさない手はない。数字と向き合うことは死ぬほどイヤだが、「これも仕事のうち」と割り切って膨大な量の数字と前向きに向き合おう……と気持ちを切り替えることにした。

その結果、最近は数字の読み取り速度はさらに上がって効率化された。今は自分で企画を持ち込む仕事でも数字を読み取る必要があるテーマをこちらから提案できるまでになっている。

嫌いな数字も「仕事だから」で割り切れると再び悟った

……なんだ。自ら希望してライターになったはずなのに、結局銀行員時代と全く同じスタンスで仕事をしているではないか。

どうやら、私の場合はどんな仕事においても「仕事だから」というスタンスでいる方がモチベーションを保ちやすいらしい。そのことを再び悟った。

だから数字が嫌いでも、特にやりたくもない金融ライターでも長く続けていられるのだろう。むしろその方がやりがいへの期待度が低い分、いい塩梅で仕事へのモチベーションを保っていられそうだ。

今後もその点においては同じスタンスでいこう。そして仕事においては「仕事だから」を理由に数字嫌いを撤回しようと決めた。

で……2022年も「仕事では」嫌いな数字と積極的に向き合っていく所存

かくして、年末の今も家計調査だの知るポルトだの有価証券報告書だのを開いて小さな数字を目で追っている……その作業は老眼でドライアイの私には辛すぎる。加齢って辛い……正直嫌いな数字と向き合うことよりも辛い。

でも、「まあ、これも仕事だからしょうがない」と思うし、「他のライターさんと差をつけるなら数字の読み取りは必須だよな」とも思うので、来年以降も死ぬほど嫌いな数字とガッツリ向き合っていく所存だ。

それでプライベートでも数字が好きになるとは思えないが、まあ、それはそれでよしとしよう。



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