見出し画像

「始めるのに遅すぎることはない」は誰にでも当てはまることではない

「始めるのに遅すぎることはない」は誰にでも当てはまることではない。

特に、シニアに向けた「始めるのに遅すぎることなんてない」は大嘘だ。甘い言葉に騙されちゃいけない。

極端な例を挙げれば…50代まで運動に縁がなかった人が今から若手がひしめくプロの世界でトップアスリートになるのは不可能だ。また、60代まで楽器と縁のなかった人が新たにN響に入ることも同じく不可能である。若い世代ならそれが可能なケースもあるだろうが。

そのような世界で結果を出したいなら若い時から始めないといけない。仮にその人に運動や音楽の高い能力があっても、始めるのが遅すぎるとその世界への扉が開かない。

そのような「始めるのに遅すぎること」はこの世にいくらでもあり、年をとるほどその数は増えていく。

残酷な事実だが、「加齢による衰えが出てきた自分には決して開かれない扉」がいくつもシニアの前に立ちはだかる。

もちろん、シニアに開かれた扉、つまり「シニアから始めても遅くないこと」も多数あるが、今からそれを極めるのはかなり難しいと覚悟した方がいい。それはシニアから色々な挑戦を始めた私自身が日々痛感していることでもある。

シニアが夢を見るのは自由だが、叶わない夢も多い現実から目を逸らしてはいけない。

その理由として大きいのが「体力の衰え」だ。

シニアになると体力が衰えて体の各所に異常が出てくる。その状態で少しでも不摂生や無理をすればすぐ体を壊す。成功と引き換えに命などの大きな代償を払う恐れも出てくる。

物事を極めるためには心身ともに莫大なエネルギーを物事に費やすことになるが、その原動力となる体力がシニアは圧倒的に少ない。だから気力だけは旺盛でも体が悲鳴を上げ、ゆるく続けることすら難しくなってしまうシニアも多い。

また、私の経験上、シニアはあまり高い目標を掲げない方がいいと思う。それで体力的な無理につながって体を壊しては元も子もないから。そうなれば極めるどころか続けることすら難しくなってしまうのでおすすめできない。

よって、シニアは「始めるのに遅すぎることは多い」という認識を持ち、「今の自分でもできそうなこと」に挑戦したほうがいい。

それは常々私自身が実感していることだ。

その経験から、物事を極める上でもう一つ大事なことを言う。「体力あふれる若い人と同じ戦略を使わない」ことだ。

ライターのケースで言えば、報酬がいくらであれ「執筆数で勝負する」スタイルでは体力ある若いライターには勝てない。今は数をこなせていても、加齢で体力が衰えるとこなせる数がだんだん減ってくるからだ。

私も、ライターを始めた7年前は月に100本近い記事を執筆していた時もあったが、今それをやったら確実に死ぬからやっていない。

今は、老骨に鞭打って多く稼ぐよりも無理が少ない働き方で健康寿命を延ばし、1日でも長くライターを続けたほうよりお得だと考えている。

たぶん他のシニアもその点は同じではないだろうか?

若い人に合った戦略とシニアに合った戦略は天と地ほどに大きく異なる。それを理解していれば、シニアから始めたことでも極められる可能性が高くなるに違いない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?