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不思議な言葉チリコンカン、たのしい名前で給食を食べてくれた

「グリーンフィールド上野毛保育園」は世田谷区にある認可保育園です。
0歳児から5歳児までの45人の子どもたちと過ごしています。

「チリコンカン」で踊りだす

ある時、給食で初めてチリコンカンを出しました。
チリコンカンはトマト・玉ねぎ・赤いんげん豆・ベーコンなどを煮込んで唐辛子で辛味をつけた料理。子ども向けの給食では唐辛子は入れず、お豆は馴染みのある大豆にして、お肉も柔らかいひき肉にしています。

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野菜たっぷりでヘルシーな一品ですが、お肉もあまり使っていないので、もしかしたらあまり食べてくれないかな……と栄養士たちは心配していました。

ところが、チリコンカンは大人気。ほとんどの子どもが完食してくれました。

保育士に聞いたところ「チリコンカン」の名前の響きが楽しくて、子ども達が興味を示してくれたとのこと。
年長クラスでは自作のチリコンカンの歌を歌っておおはしゃぎだったそうです。

「名前すごい!」「どんな味?」「どこの国の食べ物?」と子どもたちから矢継ぎ早に質問が飛び出し、地図が好きな子ども同士で「どの国の料理か?」を世界地図の前で予想をしていたり。

保育士も「名前がおもしろいだけでこんなに食への意欲が変わるんですね」と驚いていました。

給食のメニューの名前を楽しげに

名前がおもしろいと食への興味が湧くのであれば、子どもたちに給食を告知する献立ボードの記載を子どもが喜ぶようなものに変えてみることにしました。

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冬野菜カレーを「冬のうまみたっぷりカレー」にしてみたり、きのこスープを出した日に「きのこのなまえわかるかな?3しゅるいのきのこすーぷ」と書いたり、はじめて「にんじんシリシリ」を出した日には、献立の下に「しりしりってなんだろう?どこのほうげんかな?きゅうしょくのせんせいにきいてみよう!」と書いてみたりしました。
どうやら英語にすると興味を持ってくれるということもわかったので、ぶり大根を「イエローテイルフィッシュとホワイトラディッシュ」にしてみたりしました。

食べたことのあるお料理でも異なる名前だと、子どもは素直に「違う料理なのかな?」と思うようです。
「どんな魚だろう?」「あれ?これ大根かな?」と、興味津々でひとまず最初の一口を食べてくれます。
一口食べれば意外と口に合うのはよくあることです。

料理の名前を変えることで、最初の一口を食べてくれるきっかけを作ることができたのでした。

子どもの食への興味を促す手段をひとつ手に入れた

3か月ほど給食の名前を試行錯誤していましたが、徐々に名前を変えることをやめました。
単純にネタ切れしてきたことと、常に名前が違っていると1回1回の「これなんだろう?」のインパクトが減ってしまうので、使い控えたのです。

今は、初めて食べる魚を出す時など「このメニューだと食が進まないかもな。ちょっと不安だな」と思った時に名前を変えてみることにしています。

食育の時間で食材について教えたり、クッキングの時間で自分で料理をしたりすることと同様に、メニューの名前を工夫することで子どもの食への意欲が進むきっかけになることがわかったので、保育士や栄養士の手段がひとつ増えました。


上野毛