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GWWを思い切り楽しむのに中山間地域はすごく向いている

身近に生えている木が、切ってそのままものづくりの素材となるグリーンウッドワーク(以下、GWWと表記)。一般的な家屋作りや家具作りでは木を板状に切ってしっかり乾燥させてから使いますが、この木工は生の木を扱います。生木はよく湿っていて、乾燥した木と比べると柔らかくて加工が容易です。

この木工では電動の木工機械を使わずに、スツールや椅子、器やカトラリーを作ることができます(もちろん大きなものを作るときや、一度にたくさんの材料を必要とするときはチェーンソーが便利です)。主に使う手道具は、斧、ストレートナイフ、フックナイフ、フロー(銑=セン)、削り馬、削り台、楔、生木用ノコギリなど。ここ神山町のような中山間地域においては、生木の手に入りやすさ、音を出しても大丈夫な立地、例えば削りかすを土に還せる環境であること、または薪ストーブ愛好家が多く端材や削り屑を焚き付けに使う人が数多くいることことなどを考えると、この木工を体験したり、生活に取り入れるハードルが都市部よりも低いといえるでしょう。

 

お買い上げ初号機。こちらのスプーンは豆ちよ焙煎所さんにて、松崎しげるクラスにコーヒーオイルを染み込ませ磨き上げられています。

 毎日の暮らしで使うものを自分で作ることのできるこの木工はいま世界中で愛好家を増やし続けています。私は2019年の冬にGWWの存在を知りました。そしてこのめちゃくちゃクリエイティブな体験を1人でも多くの方に知ってもらいたくて四国で講師の仕事をスタートさせました。海外そして国内の先達たちと比べるとまだまだ若輩者ですが、このワークが個人の人生をより面白く奥行きのあるものに変えられること、そして身の回りの木を巡る環境を小さくとも変えていく可能性があることに痺れています。

 GWWの良さや楽しさに触れることで、たとえば人はそれまで見過ごしていた山林や里山などの地域資源に目を向け、林業家さんや山主さんなど新たな人々と関係を結ぶようになるかもしれません。どれも同じに見えていたただの木にも種名があり、持ち主があり、硬さによって難易度が違い、また樹種によって用途が異なることを、斧やナイフで身を持って素材と格闘しながら知っていくかもしれません。これまで風景の一部でしかなかった木が、GWWをやると全て大事な素材になります。その視座の変化は見逃せません。これらのプロセスは身の回りを見る解像度を上げ、何もないと思っていた場所がそのままでいろいろ良いものがある場所になる可能性を秘めています。過疎の中山間地域に住む人や集う人が身の回りの自然を見る目を変えることは、この地域にさらなる思惑と働きかけを促すかもしれません。まだ見ぬ未来に期待を抱けるフィールドが我が国にはまだまだたくさんあり、あなたはものづくりに没頭でき、GWWはそれを叶える力を持っています。一緒に楽しみましょう!

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