イギリス留学で英語を話せるようになりたかった私が作った自分ルール。自分の首絞めていました。
留学する前に掲げた二つの目標
語学(英語でコミュニケーションをとれるようになる)
宗教学(現地の宗教の様子をこの目で見る)
遠い異国の地イギリス。留学生活が始まるも、なかなか思い通りにいかない。せめて片方だけでもなんとかしたい。とりあえず目の前の英語!
必死になって英語に取り組んだ。
英語やるといっても、ただとにかく英語を話すのみ。そして勉強する。私は極力自分を英語漬けにするために一つのルールを作った。
「日本語を話さないように、日本人と話さない」
都合が良い事(?)に、私が行った学校に在籍していた日本人は私を含め3人だけ。
1人はもう既に長くイギリスに滞在しており、人間関係もできている。もう1人は私と同じ位の時期にやってきたみたいだった。
日本語無しでしばらく頑張った。「何か困ったことが有ったら相談してね」という声も無視して頑張った。頑張った。頑張った。頑張った。
そのせい知恵熱も出た。ストレスも多かった。だって言葉以外にもストレスってあるんだもの。
例えばこんなこともあった。
留学してしばらくの間、私はお腹の調子があまりよくなかった。場所が変わり、疲れているんだろうと思っていた私。しかし、ある光景を見て考えが変わった。
ホストファミリー(ホームステイ先の家族)がお皿を洗っている所だ。
タンクに水(湯)を貯める。
洗剤を入れる。
ゴシゴシ。
最後に食器立てに置く。
うむ。すすぎが無かったのだ。
正直驚いた。
「ああ、体調悪いのはこのせいか……」と。
大学在学中は私は飲食店でアルバイトしていた。まず教えられたのが皿洗い。その時の言葉は今でも忘れらない。
「日本の食中毒の原因で一番多いってわかるか?」
「洗剤だから気を付けてね」
洗剤は絶対にきれいに落とすもの、それが私の常識だった。
そこでホストファミリーに遠回しに止めるように言った。しかし伝わらなかった。
「そりゃそうだよね。こんな中途半端な英語じゃわかんないよね」
「それともあえてスルーしているのかな……」
お互いの常識がずれていることが頭でわかっていても、実感として理解していない私。結局、家庭内の雰囲気も変わってしまった。お年頃の息子の態度もなんだか……で、ホストファミリーとの関係はあまりよくなかった。
「そういや日本を出発する際におみくじを引いた時、吉だったけど住居関連だけは悪かったな」
と普段やらないおみくじのことを、何故かこの時は思い出していた。
なんだか悶々とするホームステイ生活。日に日に募っていく不満。
全然楽しくなんてなかった。
編集後記
どうして経験者を頼らなかった!?
同じ悩みを抱えている友人を頼らなかった私!?
と今読み返すと思えてしまいます。
ところで、私が英語の学ぶきっかけは子供の頃のことです。日本でたまたま出会った外国人。言葉が違う事でお互いのコミュニケーションがうまくいきませんでした。
でも子供ながらに一生懸命話して、自分の伝えたいことがはじめて相手に伝わった時、うれしかった。楽しかった。これが英語に興味を持ったきっかけだったと思います。
でも留学当時、自分の気持ちを伝える気も相手の言葉を聞く気もなかったら、たとえ英語ができていても辛いことには変わりなかったでしょう。
きっと当時もたくさん「楽しい」はあったはずなんです。いや振り返るとちゃんとあるんですよね。でも気づかなかった。もちろん苦しいこともありましたけどね。
振り返ると見えてくる。私のイギリスの留学生活は、楽しい事半分、苦しいこと半分でした。
苦しいと思っていた時期にも楽しい事があったという意味です。もちろん楽しいと思っていた時期にも苦しい事はありました。
決して留学当時の「今必死に苦しいことを乗り越えれば、その先に楽しい未来が待っている」という感覚ではありません。
こういう感覚って結構しみついているものだと思うんですよね。
もちろん「今が楽しければいいじゃない!? 苦しいことなんてほっとけ!」とは言いませんよ。
まぁ、この頃の私はゲーム依存に陥った自分を恥じて「変わらなければいけない!」と力んでいた時期でもありましたからね……。
仏教に出会って、この頃には仏教の知識も色々持ち合わせていたはずなんですがね。
知識があっても、それが身についているかはまた別の話。本当に。今も身についているかと言えばそうではないのですが……。
「目的地を目指して必死に旅して苦しむより、せっかくならその旅自体を楽しんでみたらどうだい? もちろん旅には苦しいことはあるけど、そんなハプニングも旅の醍醐味だよ」
バックパッカーを経た私ならきっとこういう先輩風を吹かせていたことでしょう。
でもそう言える私はたくせんの失敗を繰り返してきたから、今ここにいるのだと思います。過去の自分を振り返ると、私の中にはたくさんの私がいるような気がしてなりません。
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