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認知症の始まりから現在までを振り返る

家族の介護問題が発生すると生活は一変します。
自分のキャリアを一旦置いて、介護に専念する人もいらっしゃるかもしれません。
貯金が2000万円あったとしても、安心できないことを実感しました。
私自身の老後はどうなるかわからないけれど、
健康寿命を心掛けて、毎日を大切に暮らしていきたいと思っています。
身近に高齢者のいる方へ
母が認知症になった体験を少しだけ。

1.認知症の始まり

いつもと違う。と感じたのは8年前の夏のこと。
下の娘が成人し、少しほっとしていた時でした。
父はその4年前に他界。母は社会と積極的に関わろうとしない性格で、
その独り暮らしは、閉ざされた世界を作っていました。

認知症の始まりは、医学的にどうなのかわかりませんが、
最初は「普通」と「おかしい」状態が混在しています。
また、「普通」の自分は「おかしい」自分を認めません。

帰宅時に家の鍵を30分以上探しても、
キャッシュカードの暗証番号を忘れても、
家に人を入れない人が、知らない男の人を家に入れ、
貴金属を安価で売ったとしても、自分が「おかしい」と認めたくない。
また、毎日変な人が夜中にチャイムを鳴らしてくるという幻聴も。

これらは、まとめて起こることではないので、
仕事をしている私がそんな事象におかしいと感じ
対応をする頃には秋になっていました。

2.認知症専門病院を受診するまで

定期通院していた内科医師に連絡し、
仕事を休んで、母に隠れて同じ日に病院に行き先生に相談。
アドバイスを受け、認知症専門病院を予約。
自分が認知症だとわかっていない本人に説明して
認知症専門病院に連れて行くのは至難の業でした。

貴金属の買い取り業者は味を占め、どうやら3回ほど来た模様。
近所の方が、変な男3人が家の周りにいると連絡してくれ発覚しました。
家の鍵を取り換え、貴重品全てを私の自宅で保管することにしました。
認知症専門病院の医師からは、本人が家の権利書を渡して、全財産を無くした人もいたと聞きました。

3.有料老人ホーム入所

介護者は私ひとりしかいません。
私が母の介護を引き受ければ、仕事を辞め生活が成り立ちません。
要介護認定は2。いくつかの有料老人ホームを見学し、空いている地元の施設に入所しました。金額も色々。細かく試算しました。
認知症ではないかと気づいた時から既に半年経過。入所することへの説明も本人にはできませんでした。
入所までの半年間、母の体調やトラブルを考えると仕事に集中できず、
何もなくても突然電話をしてきたりするので、私自身の色々なコントロールも大変でした。

本人にある程度の貯金があったので、最低10年は大丈夫という試算をして入所しましたが、この試算は大きく崩れていきます。紙おむつは実費負担。そんなこんなの予想以上の積み重ねが次々に。
このままいくと、私が60歳を過ぎた頃、貯金が底をつく…
要介護3になった時点で、特別養護老人ホームを探し始めました。

4.成年後見人

老人ホーム入所後すぐに家庭裁判所に成年後見人の申し立てをしました。
これも手続きが大変。弁護士を立てずに自分で行ったのですが皆さんどうしているのでしょうか?
管轄の裁判所は年間5000件程新規案件があるとか…本当なのか?
年に1回の収支報告も必要で、母の財産を適正に管理することが求められます。

5.特別養護老人ホーム入所

貯金が底をつく前に何とかしないとと思った私は、
特養、老健、グループホーム、それぞれの違い、入所できるかなど色々調べました。
本人の性格やこれからもっと老いていくこの先の環境について、
ベストな方法を選択してあげたいと思っていました。
当初、私の自宅から通いやすい特養を見学したら約300人待ち。その他5件程申し込みをしたけれど、どこも100人以上の待機者がいて途方に暮れました。
高齢者支援センターの方から、交通の便が悪いところは入所しやすいとのアドバイスを受け、200床超の待機者が少ない老人ホームと出会い、
また環境も良かったので、申し込みを行いました。
数か月後奇跡的に入所出来ました。
有料老人ホームからの月額コストは3分の1に削減され、ホームの対応はむしろ良い。入所一時金もなし。この違いは何だろう。

私の友人で、フルタイムで働きながらお父様と自宅でお母様を介護している人もいます。その負担は計り知れない。
自分のキャリアを考えたくても、そんな余裕がない方も。
状況に合わせて予め調べたり準備をすることで、手遅れにならない方法を模索し動かなければいけないことを実感しました。

私の母は家族と面会しても、名前や関係性については何もわかりません。
多分「見たことある人。」という感じでしょうか?
コロナが収束を迎え面会が再開された頃、何もわからなくなっているかもしれません。
父が亡くなってから「生きていても仕方がない。」と言っていた母は
認知症になったことで、穏やかに暮らしています。

自分の老いについても向き合わなければいけない時期になってきました。

昨年、下記「介護大全」の発行に伴い取材を受けました。少し役に立ったのかな。と思っています。



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