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戦場での魂の対話〜3つの映画を通して見えてくること〜

 『戦場のメリークリスマス』  『硫黄島からの手紙』  『プライベート・ライアン』  以上の3つ映画の内、2つが日本軍を描いた映画であり、1つがアメリカ軍を描いた映画だ。 日本軍の様子とアメリカ軍の様子のそれぞれの内部を見たことで印象に残ったのは、軍内部の精神的環境と日本の軍隊の特殊性である。その特殊性の背景には、『戦場のメリークリスマス』でも『硫黄島からの手紙』でも描かれていた、天皇崇拝というものがあるだろう。  日本軍は、どんなにリベラルな思想や経験がある人物であって

    • 多くの犠牲のもとで生きることを描いた『プライベート・ライアン』

       新約聖書の、子羊のたとえが思い起こされる。一匹の羊がいなくなったとき、羊飼いはその他大勢の羊を置いて、迷える羊を探し出すことを選ぶ。ここでいう羊とは、弱い人間のことを比喩しているのだが、ではなぜ一匹の為に尽くそうとするのであろうか。同じ主題 が、この映画でも問われているように思える。  本作品では、アメリカ軍対ドイツ軍という第二次世界大戦の中でも多くの被害者を出した地上戦において 、ライアンという一人の青年を探し出し帰還させるという任務を下された8人からなる部隊を軸に物語

      • それでも生きていくことを描いた、『硫黄島からの手紙』

        『硫黄島からの手紙』では、日本軍に焦点が絞られ、その組織の内部の様子が克明に描き出されている。  激戦区と言われた硫黄島は、アメリカ軍は当初5日間での奪取の計画を立てていたものの、戦争は長期化し1カ月以上にも渡る戦いとなった。また、アメリカ軍の死者の数が日本軍の数を上回るという歴史的な戦争でもあった。そんな硫黄島での戦いにおいて、現場の最前線にいた兵士たちの心情や過去、戦いの様子、そして作戦を立て実行するまでの一連の様子が丁寧に描かれている。  この映画の中で主題とも言え

        • 戦時下での特異な人間関係を表した映画、『戦場のメリークリスマス』

           『戦場のメリークリスマス 』 は、第二次世界大戦中の日本軍の捕虜収容所を舞台とした作品であ る。この物語では、捕虜収容所内での日本人軍人と英国人軍人との価値観の衝突や戦時下での圧倒的なパワーバランスを描きながらも、そうした中での国籍や思想の違いを超えた人間同士の関わり合い、そして言語を超えたコミュニケーションの様子が描かれている。 特に、ハラ(ビートたけし)とロレンス(トム・コンティ) 、ヨノイ(坂本龍一)とセリアズ (デヴィット・ボウイ)の関係性に着目していきたい。ハラ

        戦場での魂の対話〜3つの映画を通して見えてくること〜

        • 多くの犠牲のもとで生きることを描いた『プライベート・ライアン』

        • それでも生きていくことを描いた、『硫黄島からの手紙』

        • 戦時下での特異な人間関係を表した映画、『戦場のメリークリスマス』

          ガブリエル・シャネル展   MANIFESTE DE MODE

          🪶Intro 瀟酒、という言葉がよく似合うレンガ造りの三菱一号館は、モダンで内部も洗練されていて美しい。  美しい建物の中にいると、一角のマダムになった気持ちになる。ふんわりとした心持ちで、本物のCHANELを身につけた本物の奥様方(マダーム)たちをかき分けて道を進む。外は、急に降り出したにわか雨でモクモクとした霧によって霞みがかっている。真夏の昼間の、少し気怠い時間帯、ぼんやりとした空気、の中青々と映える木々の緑が美しく目の奥に残る。  予定と予定の間の僅かな時間の中で、

          ガブリエル・シャネル展   MANIFESTE DE MODE