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老人ホームでの撮影イベントにフォトグラファーとして参加してきました。

日本人と香港人を含む約10名のチームで、ホームに住むご高齢者の希望者に撮影とインタビューを行うイベントです。

参加者はなんと30名!
多くの方は90歳を超えていて、
「撮影なんて初めて」
「化粧なんて何十年もしていない」
「恥ずかしい」
と笑いながらも、みなさん楽しんくれてました。

デジカメやスマホがなかった時代を生きてきた世代。
若い頃の写真もほとんど残っていないのかもしれません。

撮影が終わると、別のチームが思い出や昔の体験についてインタビューをしていました。

戦争や空襲、過酷な経験を乗り越えてきた最後の世代です。

私は撮影に集中していたため、詳しくは聞けませんでしたが、
時折聞こえる笑い声が印象的でした。
戦争を生き抜いた方々が、こんなに明るく話せるようになるまで、どれほどの苦労があったのだろうと考えさせられました。

思い返せば、私も子供の頃、祖母から戦争体験を聞かされていました。
当時の私はそれが退屈で、ほとんど覚えていませんが、
アメリカ軍が部屋に侵入してきた時、
祖母が家具の間に隠れて九死に一生を得た話は、今でも鮮明に覚えています。

大人になってからは疎遠になり、
祖母がどんな思いで生きてきたのかを聞けないまま、コロナ禍でひとり亡くなってしまいました。
緊急事態宣言の中、面談も禁止されていて
104年の長い人生の最後に、ひとりで祖母が何を思っていたのか考えると、今でも涙がこみ上げます。

フォトグラファーなのに、遺影すら撮ってあげられなかったことが心残りです。

今回撮影した方々が、写真を見て何を感じたのかはわかりませんが、
ご本人やご家族が暖かい気持ちになってくれたらいいなと思います。

初対面の方に
「遺影にするから、いい写真を撮ってね」と頼まれると、
やはり胸が締めつけられます。
「遺影なんて言わないでくださいよ」と返しても、
その写真が本当に遺影になるかもしれない。
人生の最後を飾るにふさわしい一枚を撮れたのだろうかと、何度も考えました。

最近、動画が主流になり、写真の価値が薄れているように感じることもありますが、
改めて写真にしかできないこと、
フォトグラファーが果たすべき役割を強く実感した体験でした。


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