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v_9 五歳児が突然ルワンダに住むことになった話 医療編

このエントリは、Voicyチャンネル 自分の人生を生きよう!by CK にて2021年10月18日に配信された「#0009 5歳児が突然ルワンダに住むことになった話 医療編」を文章化しています。音声も是非、こちら↑のリンクからチェックしてみてください♪

本日も5歳児が突然ルワンダに住むことになったシリーズの続きです。移住の子どもへの影響には、いい面も悪い面もありますよね。今日はその悪い面、その中でも「医療」にフォーカスしてお話したいと思います。

「医療が整っていない国に5歳の子を連れて行くなんて大丈夫ですか?」という質問をよくいただきます。これからお話するのは、私の場合は行くことにして、こういうことに気をつけました、という内容です。「5歳児がルワンダに行くことは医療面で無理です」とか、「問題ありません」とか、「行ったほうがいいです」といった話ではなくて、どういうことを検討する必要があるのか、そして行ってからも何に気をつける必要があるのかなど、そうした検討のプロセスが参考になればと思います。

のびのび暮らせるいいところです

まず、ルワンダの医療事情なんですが、これは日本よりも圧倒的に劣ります。
設備の面でも、お医者さんの知識でも、技術レベルでも、つまり、ハードでもソフトでも。日本のほうが圧倒的に良いですね。

日本に当たり前に暮らしていると感じづらいですが、レベルもとても高いし、あとは何といっても皆保険制度がものすごく素晴らしい。社会保険料とか国保を納めていれば、3割負担でこのレベルの医療が全国どこに住んでいても基本的にはいつでも受けられるっていうのは、世界的に見ても普通じゃないですよね。
他の先進国と比べても、例えばアメリカは国としての皆保険制度が脆弱なので、お金に余裕がないと体調が悪くても病院に行けないという人が多い。つまり、基本的な健康状態が悪いまま生活している人が、貧困層になればなるほど多いという状態。だから、今回の新型コロナの人口あたりの死者数を見ても、日本よりも圧倒的に多いですよね。それはこの仕組みの面もあるのかなと思ったりしています。

国としての仕組みも素晴らしいし、その他にも例えば救急車。日本だと、夜中でも呼べば来てくれるじゃないですか。かたやルワンダは、救急車を呼んでも圧倒的に時間かかります。以前私の経営する「アジアンキッチン」のスタッフが目の前の大きい道路で車にはねられる事故がありました。その時も1時間以上かかりましたね、救急車を呼んでから。しかも、無料じゃない。日本だと救急車を呼んでも救急車代は払いませんが、ルワンダは有料です。

次に清潔感。日本の病院は、第一にまずとっても清潔で明るい。ルワンダの病院は日本に比べると、薄暗くて衛生面も劣ります。(カバー写真をご覧ください。薄暗いですよね)ゴキブリなんかもいたりしますし、パッと見た時の印象が、日本の明るくて清潔な病院に慣れていると、正直ちょっと怖いなと思いますね。
あとは例えば、採血のときに腕を縛る道具があるじゃないですか。あれもルワンダだと看護師さんが手袋を歯でかみちぎって、それをつなげて使ったりとかします。日本では、喉を診るときには、懐中電灯みたいな専用のライトで照らしますよね。ルワンダだと、先生のスマホの懐中電灯機能だったりします。これは別に「たまたま田舎の辺ぴな病院に行ったときそうでした」とかではなくて、都心の富裕層や外国人が行く一流の病院での話です。 

日本のとある国際協力機関にお勤めの方で、盲腸になった方がいました。日本の組織が設ける安全基準は厳しいので、その方はルワンダで盲腸の手術を受けるのではなく、南アフリカに医療用の小型機で緊急搬送され、そこで手術を受けました。他にも肺気胸になった方も、南アに緊急搬送されていました。ルワンダでの手術は推奨されませんということですね。
ルワンダにも盲腸の手術ができるお医者さんはいます。でも、どの病院にいつ行っても大丈夫とは言い難い。病院とお医者さんを慎重に選べば、信じていいかな〜というような感じです。日本だと、もし盲腸になったらこの病院のこのお医者さんにして、そのためには普段から情報収集して、みたいなことはないですよね。

高熱が出て、マラリア検査の結果を待つ息子

実は息子は一度ルワンダで骨折していて。友達と遊んでいて、こけたときに腕を変についちゃって、すごく腫れたんです。これはきっと骨折だ、と病院に行って、その受付で「ああ、これは腫れてますね。多分骨折ですよね。受付料を払って奥に行ってください」ってことで受付料を払って。ちなみに、ルワンダでは先払いなんです。まず診てもらって後から精算ではなくて、まず受付でお金を払います。病院にもよりますが、500円とか1000円とかそのぐらい。なので、この時点で保険がないとかお金がないという人は、かなり厳しくなってしまう状況なんです。
その受付料を払って先生の診察室に行って、先生も「これは腫れてるね、折れてるね」と言いました。そして、「でも今レントゲン壊れてるんだよね」と。思わず「はぁ?」となりました。 いや、情報共有!!本当にびっくりしますよね。

そういう医療事情だという前提で、では普段から何に気をつけないといけないか。私は大きく二つのことに非常に神経を使っていました。

①とにかく事故に気をつける 
自分で運転するときは、40キロ以上は出さないように運転していました。それでも、もらい事故ってやっぱりあるんですけどね。めちゃくちゃな運転をする人が本当に多いので、もらい事故はあります。それでも被害が最小限で済むように、自分からスピードを出す運転は絶対しないようにしてます。

 ②高熱が出たら血液検査
これはマラリア対策です。第4回目のマラリアワクチンのところでもお話しましたが、マラリアは放っておいたら命に関わる病気その症状のうちの一つである高熱が出たら、可能性としては低くても、絶対にマラリアの検査をする。これは国としてもそういう対策・オペレーションになっています。
ただ、移住前の時点で、息子に何か慢性的な持病などがわかっていたら、そもそも移住するという判断をしなかったかもしれません。または、ルワンダに移住後も、 やっぱりリスクが高いからという理由で日本に帰る選択をしたかもしれません。

出産について。私の場合は、現在2歳の娘の出産は日本でしました。いろいろ検討の上、日本に一時帰国して産みました。その後またルワンダに戻りました。もちろん、ルワンダで出産した日本人の方もいらっしゃいます。この5、6年で私の知る限りは3人ほどいらっしゃいます。

まとめると、医療リスクをどう考えるかについては、ご自身のお子さんの健康状態とその国の医療事情の実態を把握して、許容できる・できないを決めて、行くと決めた場合も、気をつけるべきポイントは常に気をつけながら生活をする。ということになります。
ちなみに、会社など組織の駐在として行く場合は、組織がいろいろ整えてくれるし、具体的には予防接種も受けさせてくれるだろうし、保険も用意してくれるだろうし、そのあたりはとても手厚いサポートがあるようです。なのでそうやって海外に行けるなら、とてもいい話だと個人的には思います。(なぜ私は単身で行ったんだろう…笑)

メリット・デメリットをシリーズでお伝えしてまいりました。全部聞いてくださった方、ありがとうございました。5歳からルワンダに住むという経験は、させてあげられて良かったなと、親の勝手な感想としては思っています。この経験がどういいか悪いか、吉と出るか凶と出るか、まだまだ先にならないと本人にもわからないことですが、見守りたいと思います! 


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