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「ドアから片足が出ている」ー帰りたがりの私の台湾生活

趣味で勉強していた中国語を伸ばしたくて、1年くらい台湾で生活してみようと、1年契約の仕事を見つけて台湾へやってきた。

本当は、1年だけ住んだら、すぐに日本に帰るつもりだったのだけれど、色々あって1年も経たないうちに台湾人と国際結婚し子どももできた。

地元の友達からは、「ずっと台湾が好きで、そんなに好きだった国で暮らせて幸せだね」なんて思われていると思う。

でも私はずっと、「日本に帰りたい、地元じゃなくてもいいから日本に住みたい」と、そんなことばかり考えている。

この情勢下で、日本に帰れなくなって何年経ったのか。

地元への直行便はなくなってしまったし、まだ一歳の娘もいて、まだまだ数年日本に帰れないのかもしれない。

だからせめて、毎日テレビでNHKや日本チャンネルを観て、日本にいた時に食べていたようなご飯を作って、なるべく日本に住んでいると錯覚できるように暮らしている。

そんなある日、Netflixで『クィア・アイ』の日本編を見た。

3話目の主人公の男性は、留学経験のあるゲイの男性で、「日本ではゲイは受け入れてもらえない。海外にいた時は、もっと自分らしく振る舞えたのに。」と、日本人なのに、日本で居心地悪そうに生活していた。

そんな彼を改造しにやってきたファブ5の1人が、こんなことを言った。

『君は今、“ドアから片足が出ている”』

地に足がついていなくて、きちんと両足で立てていない。ここで生活していかなくちゃいけないのに、目の前の現実を受け入れて努力せずに、ずっと「他の国で暮らせたら」と夢想している。

それは、まさに今の私を指す言葉だった。

台湾にいながら、もし日本で暮らせてたら、ということばかり考えている。

ベビーカーを押して街を歩きながら、日本ならきちんと歩道があって、横断歩道でも歩行者を優先してくれて、道もこんなに凸凹じゃなくて…と心の中で文句を言う。

インスタの子育てアカウントを見れば、西松屋の服が可愛いとか、生協の冷凍食品が離乳食に便利だとか、台湾では手に入らないものがおすすめされていて、日本で子育てしたかったと思ってしまう。

でも、私は自分で旦那との結婚を、そして台湾に来ることを決めたのだ。

自分でこれから暮らしていく場所として台湾を選んだ。

私もドアから出ている片足を引っ込めて、ここでどう楽しく暮らしていくか、それを考えたほうが、ずっとずっと幸せになれるはずだ。

最近、お友達の紹介で新たに在宅の仕事をいただいた。中国語から日本語に翻訳する仕事だ。

この仕事をしているとき、私は楽しくて仕方がない。

地元にいた頃、中国語はあくまで趣味で、テキストを買ったり、先生にレッスン料を払ったり、カフェに勉強しに行って飲み物を注文したり、たくさんのお金と時間を費やしていた。

それが今は、中国語を日本語にするという、あの頃の勉強とやっていることはさして変わらないのに、お金がもらえるようになったのだ!

台湾で日本語の話せない旦那や義家族と暮らしていく中で、中国語が自然にレベルアップしたからこそ、この仕事ができるようになったのだ。

もし、日本であのまま勉強していても、翻訳を仕事にできるレベルにまではならなかっただろう。

翻訳の経験を積んで、翻訳者と名乗って生きていくことが、私の目標になった。

子育てとの両立は簡単ではないけれど、頑張りたい。

周りを見渡せば、台湾で、自分なりの楽しみ方や生きがいを見つけて暮らしている日本人たちがいる。

私もここで生活できることに感謝して、毎日を楽しんで生きていきたい。

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