もう一度住みたい街
わたしは今、台湾に住んでいるけれど、地元は札幌。
札幌は大好きだったけど、別な街にも住んでみたいという想いがずっとあった。
もともと台湾に住むのは1年のつもりだったけれど、そのあとは姉の住む関東に行こうと考えていて、台湾行きを決めた後、もうここで暮らすのは最後かもしれないと思いながら、雪の降る道を歩いていたのを覚えている。
冬はすごく寒くて寂しくなるけれど、雪が降ってくるのが街灯の灯りに写し出されている夜道はとても幻想的だ。
本当に、しんしん…と雪の降る音が聞こえるような気がする。
寒さに凍えて、もっとあったかいところに住みたいねと母と毎年冬になるたびに話していたけれど、こうして台湾に住んでいると、札幌が恋しくて仕方ない。
あの寒さすら、恋しい。
寂しくなるのがわかっているのに、札幌の街並みの写真を眺めてしまう。
友達との待ち合わせに向かうのに、精一杯のおしゃれをして急ぎ足で歩いた大通。
小さい頃からずっとそばにあった豊平川の河川敷。
もう一度、あの街で暮らしたい。
台湾で暮らすようになって、結婚して、子どもができて。
今年は日本人のママ友もたくさんできて、台湾での生活が楽しくなってきたところ。
きっとあの時、結婚しないで日本へ帰っていたら、就活と婚活で大変だった。
台湾にいると、“日本人”という共通点のおかげで、友達ができる。
これがもし東京だったら、“道産子”という共通点だけでこんなに仲良くなれただろうか。
この選択でよかった、そう言い聞かせるけれど、いつも心の隅っこに、「一生ここで外国人として生きていくんだ」という不安のようなものがこびりついている。
せめて海外じゃなくて国内だったら、言葉の壁もなくて、文化の違いに悩むこともずっと少なかっただろう。
それでもきっと私は札幌が恋しいと泣き言を言うだろうけれど。
来年暖かくなって雪が溶けたころには、どうか娘を連れて帰省できますように。
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