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村田千沙
2024年3月10日 18:00
読書人間📚『銀の夜』角田光代2020年 光文社刊行2023年 初版一刷__伊都子は病院にいくのがこわかった。「今」にかろうじてひっかかっているような母と会話をするのは、足がすくむほどのおそろしさだった。____伊都子は訊いたが、芙巳子は何も答えない。薄くくちびるを開いたまま、眠ってしまったようだった。芙巳子の息は日ごとにくさくなる。内臓が腐ってい