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【最新号紹介】治療(CHIRYO)12月号 看取りについて考える

年の瀬となりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?

今年を振り返ると、世界的には戦争の話題が多かったように思いますが、国内では新型コロナウイルス感染症が5類になったというのが、暮らすなかでインパクトがあったように感じます。
先日、観光感覚で東京競馬場にいってG1レースのジャパンカップを見てきたのですが、途中のアナウンスで入場者74,000人といわれ、会場はすし詰め状態でした。しかし馬群が見えて、ゴールに近づいていくにつれて膨らむ興奮の渦というか、そのマンパワーでしか作れない圧巻の雰囲気はコロナ禍では体験できないものでした。
関ヶ原の戦いもこんな雰囲気だったんだろうなと思います。知らんけど。

ジャパンカップを制したイクイノックスは引退も視野に入れるということらしいですが、われわれも1年の終わりに「終わり方」を考えてみよう、ということで、12月号は看取り、死生学についての特集となっております。

普段から看取りに携わっている方も多いかと思いますが、終末期の診療だけでなく、人文科学的な死生学についても学べる奥深い内容となっておりますので、紹介していきます。

特集の目次

■看取りのための臨床スキル
終末期の患者にかかわる際の考え方(宇井睦人)
終末期の輸液管理,薬物療法のコツ(引野雅子)
在宅看取りの際に重視すべきポイント(石川美緒)

■意思決定について考える
ACP について(舛森 悠,川口篤也)
「意思決定支援」の手前で(足立大樹)

■看取りの諸相
看取りを考えた先の考えない看取り(名郷直樹)
看取りを現象学から考える(孫 大輔)
生き方をつかむ ─関係のなかで変わる生の在り様─(上田仁美)

■死生学の視点から
死生学とスピリチュアリティ(島薗 進)
良い死とは何か ─段階理論からスクリプト理論へ─(堀江宗正)
医療面接を超えて ─一人として話を聴く─(葛西賢太)
部屋の中の象? ─看取りの場における医療者の悲嘆─(鷹田佳典)

■死生学の実践
臨床宗教師として看取りにかかわる(井川裕覚)
医療機関で行うグリーフケアの実践(細田 亮)
「死」と「喪失」を共に受けとめ,助け合うコミュニティをつくる
(竹之内裕文)

終末期の難しさ

患者が終末期に入っていくと、医療としてやれることは少なくなっていきます。しかし、苦しそうな患者を前に、家族は元気になってほしいと願いますし医師に「なんとかしてほしい」と頼むかもしれません。
死は遠ざけられないかもしれませんが、苦しみを軽くしたり、容態を共有したり、できることはあります。いざというときにどんな薬を使うか、どんな話をしておくか、医師の懐の深さが試されるのです。

看取りの居心地の悪さに向き合う

看取りの場で医師は無力感をもつかもしれません。
医師として患者の死にどう向き合うか、どのように佇むのか。その心構えは一朝一夕に得られるものではありませんが、今回の特集では看取りにおける様々な考え方を取り上げていますので、ぜひ読みこんで現場での経験と混ぜてじっくり消化していただけるとうれしいです。

死生学を学ぼう

緩和ケアや家庭医療を学ばれる方は「スピリチュアルペイン」という言葉を見聞きすることがあると思いますが、通常の医学教育では学ぶ機会はほとんどないとかと思われます。
生きたいのに生きられない、そんな自分の存在や人生にかかわるような苦悩を指しますが、看取りにあたってはこれが顕在化してきます。スピリチュアルな苦しみを考えるうえでは医学的な枠だけでなく、人文科学的な視点も取り入れて理解を深めていきましょう。
そして患者や家族に寄り添えばこそ、医療者自身が感じる悲嘆にも目を向けないといけません。グリーフケアはやってあげるものではなく分かち合うもの。向き合うための考え方を学んでいきましょう。


ちなみに、
死生学については興味を持たれた方には、今年刊行した「臨床と宗教」という書籍がおすすめです。本特集でお力添えいただいた、井口真紀子先生、孫 大輔先生、島薗 進先生にもご参加いただいており、対談形式でやさしく、死生学・宗教学について学べる内容となっておりますので、興味のある方はあわせて手に取ってみてください!
書籍:臨床と宗教 紹介ページ

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文責:南山堂「治療」編集部 カーター

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