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探鳥会レポート<N湖畔キャンプ場編>3/3話 2022年7月 鳥少なめ、珍しい山野草を楽しむ。


 先日、N湖畔で行われた探鳥会に参加してきました。
 雷雨に追い立てられるように移動し、最後のキャンプ場に到着しました。

 幸い、雨は小休止。
 探鳥会御一行は念のため傘を持って歩き始めました。

 駐車場からキャンプ場までは少し距離があります。
 利用客はリヤカーを借りて、荷物を積んで行きます。

 ちょうどキャンプの片付けが終わったタイミングでした。
 たくさんの荷物をリヤカーに積んだ人と何人もすれ違いました。

 リヤカーが下り坂で止まらなくなって、すごい勢いで突っ込んできた事もありましたが、「てめぇら、そんな所を歩いてんじゃねぇよ!」と罵声を浴びせられたので、かかわるのを避けました。

 リアカーで怒鳴っても行けてないわよー。
    心の中で返事をしました。

 先ほどまで雨だったせいか、リヤカーが大きな音を立てて暴走したせいか、ほとんど鳥が鳴いていませんでした。

 それでも探鳥会御一行は真剣に耳を澄ませます。
 やがて、鳥の鳴き声が聞こえ始めました。

 チゥピー チチ

 独特の音でアオジという鳥が鳴いていました。

 探鳥会御一行は
 「木の中にいるから分からないね」
 「前にH湖探鳥会で見たときは木のてっぺんで鳴いていましたけどね」
 鳥の姿は見えなかったけれど、この日に観察した鳥としてアオジを1と数えました。

 湖を見下ろせる高台にキャンプ場の広場がありました。
 下見の時にはここでお昼を食べましたが、今回は雨のたびに移動したので、まだ10時くらいです。

 ひとりが湖に向かって降りたので、他の人も後に続きました。
 高台に残って、ベンチに腰掛けていた人もいました。

 私は湖のそばまで降りていきました。
 湖の近くに赤味のかかった紫のアヤメが咲いていました。
 せっかくなので、背景に湖が入るようにアヤメが撮れないか、いろんな方向から狙ってみました。

ヒオウギアヤメ
イブキトラノオ

 ガァ~ ガァ~ 

    標高1,600メートルまで来たのに、都会に多いハシボソガラスが鳴いていました。

 山にいるのはたいていハシブトガラスなので、こんな山奥で見るのは珍しいです。

 「ハシボソだねぇ」
 そうに声に出した人がいました。
 ハシボソガラスを見たと、みんなに証人になって欲しかったのかもしれません。

 パラパラ…… 

    はっきりと音を立てて雨が降り始めました。

 探鳥会御一行は大急ぎでキャンプ場の広場に戻りました。

 屋根付きの調理台が多く並んだ一角があり、そこに避難しました 。
  「鳥合わせをやります」

 探鳥会の最後に、その日に見た鳥をお互いに確認します。
 鳴き声だけでも「1」と数えます。

 今日、確認した中に「コマドリ」が入っていました。
 2カ所目で聞いた鳴き声は、やはりコマドリだったのかも……?
 だとしたら、私はコマドリと初めましてです。

 いつか写真に撮れたらいいのですけどね。 

    帰りは傘をさしての移動になりました。

 近くに歩いている人が
 「おととし、このあたりでコマドリの巣を見つけたんだ」
 こう話し始めました。
 「ジュウイチに托卵されちゃっていてさ」 托卵というのは、他の鳥の巣に卵を産んで、他の鳥にヒナを育てさせることです。
 「コマドリのメスは自分より大きなジュウイチのヒナに一生懸命エサをあげていてさ、かわいそうだった」
 「えー……」
 かわいそうだと思いつつ、そういう光景を見られたこと自体がすごいと思いました。

 ミソサザイがいるという沢があって、近くで耳を澄ませていたら、
 「そんな近くでは水音でかき消されて聞こえないから」
 「この辺で聞きなさい」
 水辺から5メートルくらい離れた場所で聞くよう教えてもらいました。

 言われたとおりにしたところ、水音は遠ざかって、ミソサザイの鳴き声である高い音は離れても聞こえるのでした。
 「なるほどー」
 先人の知恵に感心する私でした。

 鳥を楽しみながら駐車場に戻りました。
 周囲にいた人に「お世話になりました」と声をかけて帰路につきました。

高山植物の女王 「コマクサ」

こちらは江戸時代に持ち込まれたもの。
地元の人が大事に見守っています。



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