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鳥見ハイキング1<オオルリ編>

   先日、A山へ鳥見に行ってきました。

 鳥見仲間で茶飲み友達のモカさんは、植物の専門家で春から秋まで本業の方が忙しいのですが、ゴールデンウィークに一日、鳥見の時間を作ってくれたのでした。

 私とモカさんが愛読している野鳥観察ブログがあって、そこに「まるでミソサザイの天国」と書いてあるのを見つけたのです。

 私がメールで
 「ミソサザイ天国……行ってみたい」
 なんて送ったのがきっかけで、今回の山行きが決まりました。

 標高1,000メートルある駐車場に車を停めました。
 木の葉が芽吹いたばかりで、葉が小鳥を覆い隠す心配もなさそうです。

 駐車場の脇にはきれいな川が流れていました。
 水はきれいですが、水量が多いので、ザァァと川の流れる音が小鳥の鳴き声をかき消してしまっています。

 鳴き声が聞こえないと小鳥を探すのは難しくなります。

 それなのにモカさんは
   「あっ、ミソサザイ!」
 目ざとく川を指すのでした。

 私がモカさんの指さす方向を見ると
 「あっちに行った」
 指は既に違う方向を指しています。

 私の目にはかろうじて茶色い玉がサッと消えたのが見えただけでした。
 なんだかガッカリ。
 「きっと他にもいるよ」
 こう、モカさんに慰めてもらいました。

 私たちは川沿いに山を歩き始めました。

 キャンプ場を抜けたあたりで、大きなカメラの人たちに会いました。
 ひと目で鳥見の人だと分かります。

 軽く挨拶をすると、向こうから声をかけてきました。
 「何か、いたかい」
 これにモカさんが
 「まだ何も」
 と答えました。

 私が続けて
 「ミソサザイが目の前を横切ったくらい」
 というと
 「あぁ、あっちにいっぱい鳴いていただろ」

 おじさんは
 「オオルリ、キビタキが入っていると思うんだけどね」
 そんなことを言って立ち去りました。

 そのおじさんが向かった方には、たくさんの大きなカメラの人が控えていたのでした。

 私たちがあちこちで耳を澄ませて鳥の声を探していると、大きなカメラの人たちが集まっていました。
 どうやら珍しい鳥が見つかったようです。

 モカさんが先に気づきました。
 「オオルリ!」
 「えっ」
 モカさんはさっと近づいて撮影を始めました。
 私はぜんぜん見つけられなくてオロオロ。

 オオルリは木の間を縫うように飛びました。
 動きはかなり速いです。

 そのたびにだいたいの位置はつかめるのですが、細い枝に隠れていてうまく撮影できません。
 私がオロオロしているうちに、大きなカメラを持った人たちは十分撮影したようで、解散していきました。

 「オオルリ、心残り……うまく撮れなかった」
 悲しむ私に、なんとモカさんがオオルリを見つけてくれました。

   木の上の高いところに止まっていて、背景は空、思いっきり逆光です。
 モカさんの気持ちはとても嬉しいけど撮影条件が悪すぎるよ……

 私はオオルリのシルエットの撮影に成功しました。
 くすん。

(ミソサザイ編に続く)

これは前日にたまたま撮れたオオルリ。
私は見栄っ張りなのです。


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