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鳥見散歩<U湖編>1/3話 2023年6月 今からじゃ遅いと言われても。

 先日、鳥見仲間で茶飲み友達のモカさんとU湖に行ってきました。

 私が
 「尾の長い夏鳥に会いたい、探鳥会ではなくU湖に行こうと思う」
 週末の決意をメールにしたためたところ
 「行きたい」
 と、モカさんから返信がありました。

 それで、一緒に行こう、となったわけです。

 「途中でお昼を買う?」
 「そんなに長くU湖にいないでしょ?」

 途中でそういう話をして、お昼に食べるものを持たずにU湖に行きました。

 U湖は堤体で川をせき止めたダム湖です。
 橋を渡って、東側の駐車場に車を停めました。

 この日は釣りの人がたくさん来ている様子で、朝早いのにすでに数台停めてありました。

 ホー ホケキョ ケキョケキョケキョ

 ウグイスが声を張り上げていました。
 繁殖時期が長いのでウグイスは夏でも素敵なお嬢さんを募集中。

 しばらく待ってみましたが、ウグイスは姿を見せてくれませんでした。

 ダムの上流に向かって歩き始めました。

 歩き始めてすぐ、ランナー姿のおじさんが私を追い抜いていきました。

 くるっと振り向くと
 「あっ」
 「あんた、久しぶりだねぇ」
 そう言って私をさしました。

 去年、U湖に通っていたことがあって、ランナーのおじさんと顔見知りになったのでした。
 「尾の長い夏鳥の時期になったので、また来ました」

 ランナーのおじさんはひとこと。
 「今からじゃ、遅いよ」

 おじさん曰く、探している夏鳥は3月下旬には来ていたそうです。

 渡り鳥は昼と夜の時間の長さの変化で渡りを始めるので、いきなり今年だけ早く来るということはないんじゃないかな?と思いつつ、黙って聞いていた私。
 (調べたら、今年の夏鳥は少し早めに日本に来たらしい)

 おじさんは耳を澄ませると「今日はいない」と断言しました。

 私はモカさんに
 「どうする?」
 「もう、今日はいないって分かっちゃったけど」
 モカさんも首をかしげます。

 尾の長い夏鳥の居そうな場所を何カ所かチェックしてありましたが、今から移動するのにはどこも遠かったのです。
 「他に鳥がいるかもしれないし」

 モカさんと私はこのまま先に進むことにしました。

 ランナーのおじさんは私たちに落花生の飴をくれて、そのまま来た道を戻っていきました。
 どうやら、誰が来たのか見に来た様子でした。

 そして、ランナーのおじさんの言うとおり、尾の長い夏鳥とは会えなかったのでした。

藤の実

 少し歩くと藤の実を見つけました。

 「さわってみて」
 モカさんが言うので、そっとサヤをつまんでみたら、短い毛がビロードのようで、しっとりとしていたのでした。

2につづく。


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