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第16回「バレンタイン」

先日、「月末にスノボに行かへん?」とお誘いを受けた。それに対し、「土曜日なら」と返事をした。朝から不慣れな運動をして、翌日は疲労で潰れると直感したからだ。

直感したなどとほざいているが、わたしはこれを強く実感した経験を持っている。人生で初めてスノボに行ったのは、いまから7年前のことだった。


元々運動音痴で、そもそも運動自体好きではないし、文化部にしか所属したことのないわたしには、ウインタースポーツなんて縁のないものだと思っていた。

友人が1から教えてくれるとのことで、10人弱で早朝からスノボへと出かけた。バランス感覚も筋肉もないもので、雪の上で立つことすらままならない状態ではあったし、立ち上がれてもすぐにこけて…の繰り返しだったが、それなりに楽しんで過ごしてた記憶がある。


スノボ終わりには併設している温泉施設のお風呂で温まり、ファミリーレストランで食事をして車で家まで送り届けてもらった。

わたしの家の前に、地元の友人の彼女の家へと寄った。彼女は車から降りると、「ちょっと待ってね~」と家の中へ。手に箱を持ち、小走りで駆けてきた。

「はい、1日早いけどバレンタイン!」

そう、翌日は2月14日でバレンタインデーだったのだ。一応車内からはやし立てておく。その方が気分的に盛り上がるだろうから、一応。念のため。「うぇ~~~~い!めっちゃええやんけ~~~~ぃ!」その時点で時刻は21時ごろだったろう。

そこから程なくして、家に到着した。お風呂も食事も終えているし、何よりも疲労感が半端じゃないためすぐに寝ることにした。

すぐに着替えて布団の中に潜り込む。せいぜい21時半。zZZZZZ。


目が覚める。外が暗いな、深夜だろうか。やっぱり、ひどく疲れたなあと思いつつ起き上がる。2月だ、乾燥する季節だからか喉の渇きも尋常じゃない。いつもはしないラッパ飲みで2Lの某スポーツドリンクをがぶ飲みした。

口元を手で拭いつつ、トイレへと入る。その時に持ち込んだスマホを見る。

24:30。あれ?3時間しか寝てへん?頭が働かないまま、SNSのチェックをする。寝る前にもチラッと見たはずなのに、どこもかしこも茶色とハートで溢れている。チ・ヨ・コ・レ・イ・ト

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理解できなかった。確かバレンタインは明日のはず。ん?え?15日???


昔からよく寝る子だったと親は話していた。アラサーになった今も、よく寝る方だと思う。しかし、だ。2月14日はどこにいった?わたしのバレンタインデーは?


その日以前にそれほどまでに眠った日もなければ、その日以降にそれほどまでに眠った日もない。それでもスノボに対しての警戒心は拭い去ることはできない。

翌日を丸々存在しない日にした経験を持つわたしは、今月末行くかもしれないスノボに対して強く土曜日を所望した。そうするしかないだろう。

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