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かんたんキーワード:「ハザードマップ」と「地図」

 今回は、地理に関連するキーワードについて簡単に紹介し、考えてみたいと思います。できるだけ分かりやすく簡単にしますので(そもそも難しい文章が書けないので)、地図が好きな方も嫌いな方も、お読みいただければ幸いです。

 まず、週末に台風が来そうなので、まずは大切なこととして、災害から身を守る地図、「ハザードマップ」について簡単に書いておきます。

 皆さんは、自分の家の近くの避難所の位置は把握していますか。万一避難しないといけなくなったとき、どのようなルートで移動すべきかなど、考えたことはあるでしょうか(もちろん、外に出るのが危ないときは無理に家を出ないことも大切ですね)。もし把握されていなければ、自治体や政府のホームページなど、信頼できるWebサイトを使って、調べてみてください。自治会などで、紙の地図が配布されているかもしれませんね。落ち着いているうちに、手の届くところに出しておいてください。

 「住んでいる地域名」+「ハザードマップ」などでWeb検索するのもよいと思います。「ハザードマップ」とは、災害時に住んでいる地域にどのような危険があるかまとめた、身の安全を守るための地図です。そしてできれば、それらの地図は印刷して保管したり、どこかに簡単にメモしたり、スマホのストレージにダウンロードして保存したりしてください。災害時にはスマホは大切な情報収集手段になりますし、場合によっては通信ができないこともあります。

 台風が来る前に、下記のハザードマップポータルサイトを見ておくのもよいかもしれません。「わがまちハザードマップ」では、住んでいる地域のハザードマップが公開されている場合、閲覧できます。

 災害時に大切なのは、落ち着いて身の安全を確保し、確かな情報をもとに判断をすることです。むやみに危険をあおる情報などにまどわされず、信頼のおける情報を入手し、落ち着いて行動してくださいね。

 ということで、より幅広い地図の話に移ります。

 「地図は好きですか?」とたずねられたら、あなたはどのように答えますか。私は地図は大好きなのですが、実はこの質問自体、答えるのが結構難しいんですね。というのも「今まで、好きか嫌いかで地図のことを考えたことがない」という人がたくさんいるからです。なかには「地図は難しいから苦手」とか、「地図の読み方が分からない」という人もいると思います。一方で、そもそも地図についてあまり深く考えたことがない人もいるということですね。

 まずは、地図にも以下の大まかな区別があることを紹介させてください。それは「一般図」と「主題図」です。『人文地理学事典』(人文地理学会編,2013)によれば、一般図というのは、「特定の主題(テーマ)」を目的とせず、地図の基本三要素である「地形」「集落」「交通路」のみを描いたもの」です。地図記号などが用いられた地形図などが代表的です。Google MapなどのWeb地図もこちらに含まれると思います。それに対して主題図とは、「限られた「特定の主題=地図作成者のテーマ」についてより詳細に記載された地図」です。「都道府県別の○○生産量の図」や「△△市における■■の立地分布図」などですね。

 地理に関わっている皆さんには、上記の区分を念頭に置いて、地理に関わらない人たちに説明をしていただくと、分かりやすいと思います。というのも、私たち地理に関わる人間にとってはこの区分は自明のもので、一般の方への説明のときに話がかみ合わない可能性があるからです。たとえば、教科書に載っている主題図の読み取りと、目的地に到達するための案内図やGoogle Mapの読み取りなどでは、得意不得意が異なります。

 私は仕事の都合もあり、主題図はよく見ますが、案内板やGoogle Mapなどの地図を見ながら道を探して目的地に到達するのは苦手です。「地理に詳しいはずなのに、地図読めないんですね(笑)」とよく言われて、はじめは一生懸命反論していたのですが、ここ数年はあきらめました。必要とされる能力が違いますし、自分の空間把握感覚の低さは認めて受け入れるようにしています。

 「地図が苦手」、「地図がきらい」という人と話すときは、その人が何に苦手意識を感じているのかを、対話の中で理解することが大切だと思います。そして、地図が苦手だと感じている地理に関わらない皆さんも、なぜ自分が苦手だと感じるのか、少しだけ考えてみていただければと思います。学校の授業での地形図の読み取りで、等高線が複雑で嫌になったとか、私と同じように地図を見ながら道を探すのが苦手とか、いろいろな理由があると思います。

 地図は、楽しく読めるようになると旅行などの楽しみを豊かにしてくれますし、災害時には身の安全を守ってくれます。どうか皆さんの地図と関わることへのハードルが可能なかぎり低くなりますように。

 

 





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