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パワーポイントで加工可能なヨーロッパの地図(ウクライナについて知るために)

 ウクライナをめぐる情勢、とても心配しています。学校などで、現在の状況やこれまでの経緯を説明する機会が多くなるのではないかと思います。そのとき、国の色分け(国家群など)ができる地図があると便利だと思いました。ただ、GIS(地理情報システム)を使った地図化は、地理の先生方でも難しい場合が多く、歴史の先生方にとってはなおさらだと思います。そこで今回は、世界の国境のデータをGIS(ArcMap)で加工し、パワーポイントで国別に色分けができるファイル(pptxファイル)を作成しました。記事上部の地図は作成した地図でウクライナとロシアに色を塗ったものです。皆さんがウクライナについて関心を寄せるきっかけになれば幸いです。

パワポの色塗りの例

色塗りの例:一つずつポリゴンを選択して色の塗りつぶしを選択できます。

◎作成方法

➀世界銀行の国境データ(Shapefile、GISで加工可能な地図データ)をダウンロード
 ◆World Bank Official Boundaries
「World Country Polygons - Very High Definition」を使用
https://datacatalog.worldbank.org/search/dataset/0038272
②海岸線が複雑なので、Mapshaperを使って10%に簡略化し(描画のポイントを減らす)、再度Shapefileで出力。
 ◆Mapshaper(https://mapshaper.org/)
③ArcMapで地図を表示し、投影法を変更。今回はアルベルス正積円錐図法「Europe_Albers_Equal_Area_Conic」を選択し、Central Meridian(中央子午線)を東経20度に設定。
 ◆アルベルス正積円錐図法の説明(Arc GISの説明ページ)https://desktop.arcgis.com/ja/arcmap/10.3/guide-books/map-projections/albers-equal-area-conic.htm
④作成した地図をパワポに取り込み可能なSVGファイル形式で出力
⑤パワーポイントにSVGファイルを取り込み、図形に変換。同じ国のポリゴンをグループ化するなど微修正。

◎データの使用について

 学校教育や個人での使用であれば基本的に自由にお使いください。細部まで十分に確認できておらず、内容に問題があるかもしれません。塗り分けた地図を教育目的で再度公開されることは問題ありませんが、公開したパワポのファイルを再加工して広く配布することはお控えください(職場での共有程度は問題ないと思います)。出典は「世界銀行の地図データを加工したもの」としていただければ問題ないと思います。

◎地図の作成について

 地図の作成にあたっては、下記のイデケントさんの記事を参照しました。有益な情報ありがとうございます。今回は境界線を簡略化するなど自分でさらに加工をしたため、世界銀行のデータをダウンロードしましたが、イデケントさんが公開されているデータは日本の国境線も丁寧に編集されており、学校でのGIS教育に便利だと思います。

 投影法などについては、羽田康祐さん(『地図リテラシー入門』の著者)の下記のサイトなどで勉強しました。ありがとうございます。
https://www.wingfield.gr.jp/

◎留意点

 社会科教育に利用可能な地図データは、地図業者の方が販売されているものもたくさんあります。私のデータ公開は今回の社会状況を考慮したもので、業者の方の成果をお邪魔することは望んでいません。専門業者の方の地図の方が、様々なことを確認して作成されており信頼性も高いですので、その点は十分ご留意ください。この機会に地図の活用が教育現場でさらに進むことを願っています。




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