旅楽団 48

【48 みんな、だいすきさ!】

何やらの音で目が覚めるのさ。
何とか目を覚ましたオリはビックリしたのさ。
そこにはてんぷらやま楽団のみんながいてさ。
目を覚ましたオリを見て喜んでハイタッチなんてのをしている始末さ。
オリは体を動かそうとするんだけど、夢の続きのようにピクリともしないのさ。
よくよく見てみる通りの体はすっかり埋められてしまっているのさ。
オリは自分が埋められているということに愕然としたのさ。
全然理解できなくてね。
「どうしたのさ。これはどういうことなのかね?」オリが聞けばさ。
「気にしないで、病気の治療の一環よ」チリチさんはそう答えるのね。
「あんまり深く考えないで」マイタケはそんな事を言っているのさ。
オリは状況がさっぱりわからなくてね。子豚にさ。
「教えてくれさ!いったいどういう事になっているのさ!」大きな声を出してしまったのさ。だけれど子豚はさ。
「うん。そうだね。うん。平気だよ。ぶぅ」そんなことを言いながらニヤニヤしているのさ。
オリは益々訳が分からなくなってしまうのさ。
子豚とマイタケはほっとした様子でいるのさ。
そして後をチリチさんに頼んで森の奥へと向かっていくのさ。
「どこに行くのさ!オリを穴の中から出してくれないかね?」オリはもう、お願いを始めるのさ。そんなオリの様子を見かねたのかチリチさんはね。
「いいタクト?タクトは病気なの。それでね、その病気は、タクトの口の中からラディッシュが飛び出していけば良いんだけれどね。まだ出てきてないのよ。でもね意識が戻ったならもう大丈夫、もうひと頑張り頑張りましょう」そんなことを言っているのさ。
「オリは、オリはどのくらい寝ていたのさ?」
「もう意識がなくなって、丸一日」チリチさんはボソリという。
オリの頭は混乱するのさ。それを見越してチリチさんはボソリと言ったのだろうね。
「それじゃあさ。それじゃあさ。それじゃあさ…」オリの言葉に、チリチさんはさ。
「うん。そうなのよね。あともう少しで始まるのよ。演奏会…。でもね…。でも、あたしたちはみんな自分の意思でここにいるの。タクトには申し訳なかったんだけれどね。子豚とマイタケには演奏会に行きなさいって強く言ったんだけどね。2人だけでも行ってあげてって、タクトもそれを望んでいるわよって。そしたらね、マイタケはいつものようにソロバンでね。ピューってどっかに行ってしまったの。それで演奏会に向かってくれたのねって、思っているとね。あっという間に帰ってきてね。[特別編集プログラム]ってのを貰ってきてね。タクトが演奏会までに起きなかったらかわいそうでしょって。もし寝過ぎてしまったらどんな楽団が出ていたか、タクトは楽団マニアだからこれを見て楽しめるでしょって。子豚に関しては、一族の掟みたいなものがあるって言っていたから、絶対に行かなくちゃだめよって言ったんだけどね」そこまで話して、チラッと子豚とマイタケの方に視線を向けるのさ。
子豚とマイタケは森の向こうで[特別編集プログラム]ってのを、キャッキャッ言いながら夢中で見ていたのさ。
チリチさんは、その様子を見ながらさ。
「子豚はね。『タクトのいないてんぷらやま楽団は、てんぷらやま楽団ではないじゃないか!』って泣きながら言ってね。『それとも僕は、てんぷらやま楽団の一員じゃないのかい!』って怒り出してね。あたしと散々の言い合いになって…。とうとう彼は、演奏会には行こうとしなかったのよ」

オリはそれを聞いて申し訳ない気分でいっぱいになったのさ。
オリの胸はいっぱいになるのさ。
オリの病気のせいでさ
オリのせいでね…。
オリが悪いんだね…。
みんなごめんさ…。
みんなありがとうね…。
みんな大好きさ…。



ひとまずストックがなくなりましたので これにて少しお休みいたします。 また書き貯まったら帰ってきます。 ぜひ他の物語も読んでもらえると嬉しいです。 よろしくお願いいたします。 わんわん