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無拍子

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全部で33話の物語です。
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無拍子(第三章(最終章))

無拍子(第三章(最終章))

第三章
それは自分で探すもなのさ、口説くなるようだけど
【24 凪=風がやんで波が無くなり海面が静まること】
部屋の真ん中にパスタの麺がこねられるような大きな机があり、そこに大きくてカラフルな布が敷いてある。
その布の上には、さっきボンゴレ大陸と話し込んでいた、大きな丸い蛸がイライラしている雰囲気で待っていた。
その身体の色合いが、薄白く変わっていたからね。
セバ教授改めアンクル(この呼び名は今の

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無拍子(第二章)

無拍子(第二章)

第二章
周りの人間も、君が好きで好きでたまりません
【12 かなり寒い日に、僕らはいきなり旅だった】
トマトの宣言を聞いた後、僕はドルトムント伯爵の顔をドキドキしながらちらと見る。
「ん、ん、ん」と、又咳ばらいを3つ
ドルトムント伯爵はゆっくりと、そして柔らかい声でこう切り出した。
「ペンギンの足は?」
その言葉にまたしても僕は驚いてしまう。
さぞかしトマトも驚いているだろうと、彼女の顔を覗き込む

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無拍子(第一章)

無拍子(第一章)

第一章
目的を持たずに生きるということの楽しさ
【1 魚屋のおばさんとそこに居合わせた客の会話】
夕暮れ時。
僕は最近、親といまいち折り合いが悪く
家に帰りたくないと思うことがしばしばあった。
いつもはそこらに落ちている空き缶なのだけど、その日に限って空き缶はひとつも手に入らなかった。
角の酒屋のごみ箱に何種類かの空き缶を見つけた。
缶詰の缶は論外だし、ビールの缶もいまいち気に入らない。
そこにマ

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