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能書き・落書き・悪戯書き 2

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世迷言、放言、告げ口などをつらつらと・・・・
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口癖

口癖

「○○大学卒のくせに」

とあるビジネスシーンで発せられた一言が
気になった。

自分との比較しての話なのかはわからない。
しかし、傲慢と侮蔑の響きが感じられた。

少し不快な気分になり、その人とは距離を
置きたいとまで思ってしまった。

既に交流が深く、ひととなりが
理解できている間柄なら反応は
違ったのかもしれない。

ニュースでよく見る政治家の失言を
思い出した。

人は思ってもいないことを

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飛翔

飛翔

そう?「壁は乗り越えろ」って

他人事だから言えるんでしょ

黙ってよ!

肯定の後に楽観があるはずだから

一人歩きの噂に

疎外感はフツーかも

周りが無視して走り出せば

雨雲は突き抜けられる

駐車場に来てみたところで

車のキーが無けりゃ

走り出すことすらできない

どうかしてる

わかりもしないで歩き出すのかい?

答えがあってのスタートなんてやばくない

不安を抱えてるからこそ輝け

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成人

成人

「おとうさん、元気出せよ!」

六歳の息子にこう言われた。

朝出かける前の玄関での一コマだった。

翌朝意気揚々と小学校へ向かおうとする息子を呼び止めて抱きしめた。

(知らないあいだにけっこう太っていたんだな・・・こいつは)

少し太った柔らかい息子の身体を抱っこしてそう思った。

次に抱きしめた時

息子は痩せて冷たくなっていた。

28日間も意識不明でベッドで過ごしていたからだ。

出棺の

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開拓

開拓

漸く我々はその星にたどり着いた

我々の星とそっくりの青い惑星だ

大戦が起きたのは私が子供の頃だった

小国の独裁者が放った一発のミサイルが引き金となり

狂気の連鎖が始まって飛び交う兵器に我々の星は一変した

故郷は見る影もなく荒廃してしまった

私の知る者も私を知る者もいなくなるほどに

かろうじて残った者たちは争うことを止め

涙して故郷を見限り

移住すべき星を探すことと

宇宙船の建造

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視点

視点

裸の男が空を見上げている

一日が終わり 天に祈りを捧げていた

裸の男の日常を遠く離れた場所のテレビ番組で見ていた

背広の男が言った

「未だに狩りをして生きている野蛮な人たちがいるんだな・・・

 病気やケガも祈るだけしかできない

 なんて不幸な人たちだろう・・・」

背広の男の日常を遠く離れた上空の物体の中からモニターで見ていた

銀のスーツの男が言った

「未だに争い殺し合いをしている

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加減

加減

久しぶりに玉突きをした

ビリヤードと言えないのは

とても腕前がその域には達していないからだ

仕事はうまくいっている

しかし私生活に何故か潤いがない

少しむしゃくしゃしていた

仕事を早めに切り上げ帰ろうとしたが

ふと足が向いた先にビリヤード場があった

最初は白い玉がいろんな顔に見えてくる

  「あんなこといいやがってこのやろう!」

  「こんなに心配してんのにあいつめ!」

  

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春桜

春桜

もう何年たっただろう

でもこの道を通るたび思い出す

風に舞う花びらが君の香り

幸せな笑顔が見たくなる

何度ここを通っただろう

楽しいことだけ思い出す

舞う花びらを君の髪に飾り

確かな愛を感じたあの日

別れを告げたこの道

二度と通らないと思ったあの日

同じようにたくさん花びらが舞う

今はそれぞれの道を祝ってる

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戦闘

戦闘

とある夏の日

敵機 4時の方向から接近 右大腿部 被弾か?

状況確認せよ!

右大腿部 異常なし!

目視確認 よ~し!

敵機 機影を追って 10時の方向を探索せよ!

敵機 発見できず! 発見できず!

キンチョウリキッド60日 セット完了

コンセント確認 スイッチオン!!

敵機 左脛側部 攻撃 被弾!!

赤みさし 痒みあり!!

戦闘不能 戦闘不能!!

あれ今何月だっけ・・・・・

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変人

変人

 「一度会ったら友達だ!」

 最初からヘンなオヤジだった

 そのオヤジに「あなたはキョウレツな人だ」と言われた

  冗談じゃない!あんたのほうがキョウレツだ

  おれは変わっているだけだ! 

 と言いたかった

 とあるワイン会社の常務さんだった

 

 ある朝、そのオヤジから電話が

 「あなた、今度HTに行くんだってね。

                社長に会ってきたら?」

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別離

別離

 いま 別れの時を迎えている

 思い出されるのは楽しいことばかり

 昨日のディナーはキムチ鍋

 真っ赤なスープに具沢山

 ハフハフいいながら 楽しく食べたっけ

 それが今

 こんな結末を迎えるなんて

 「何も言わなくていい。早く出て行ってくれ!」

 言葉にできない思いが体の奥底にある

 「痛い。痛いじゃないか。そんなに俺が悪いのか?」

 やはり 別れには痛みを伴うものなのか。。

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回帰

回帰

昔、息子の三回忌の席でこんな話をした。

「最初は泣いてばかりいました。それは息子の想い出を心に刻み付ける作業に必要なことだった気がします。最近泣くことが少なくなったのは、その作業はもう充分だと言うことなのでしょうか。

これからも時々その作業は続けることになるでしょうが、いつも心に住む彼と一緒に生きていきたい。」

以前は、もし後世で彼と会えるのなら、などとつまらない思いを胸に抱いたこともあった

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後悔

後悔

宮本武蔵の五輪の書にある言葉らしい。

らしいというのは、私自身が読んだわけではなく、漫画の中で知ったからだ。

その漫画は「空手バカ一代」。

極真空手の創始者、大山倍達氏の半生を描いたものだ。

大山氏はスベインの闘牛場で

「クリミナル(犯罪者)」と異名を持つ猛牛と闘った時、足を負傷した。

勝利の称賛と興行収入は、長期入院のベットの上で焦躁へと変化していく。

そんな中、ふと読み返した愛読

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旧交

旧交

今日 友人に会う

もう3年振りである

同じ地域に住んでいながら

なかなか会わないものだ

気がつけばかなり月日は流れた

前職の同僚で 細く永く メールや電話で近況をやり取りしてきた

「元気か?」

「おう!元気だ!」

「忙しいか?」

「まあまあだ!」

そんなやりとりでも 何ヶ月に一遍は

どちらからともなしに かわされてきた

久々に 何か話があるらしい

短いメールからは その内

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紳士

紳士

得体の知れない紳士だった。

身なりがしっかりしている。短く揃えられた顎髭にまで品の良さがうかがえる。そこが余計不気味だった。

大金を手にすると人脈もかわるものだ。

その日はメインバンクの支店長からのお誘いでススキノの会員制クラブにいた。

絵画、調度品からグラスに至るまで、どれもいかにも高価なものだ。当然ながら傍に座った女性たちも知的で洗練された美女ばかりだった。

大分酔いが廻った頃、支店

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