手をのばす
私は正しい。
これほど恐ろしい思考はない。
私は間違っている。
そうわかっていながら突き進むのは、私が正しいと言うのと何ら違いはない。
しかし、間違っていない人間がいるだろうか。
誰しもが間違えて、苦しみ、もがき、未来へと手をのばす。
深い深い底なし沼に沈む。
確かに私の姿は世間から消える。
死んだものとされる。
なぜ飛び込んだのか。
その理由を知るものはいない。
気が狂ったと言われても仕方がない。
底なし沼の中だけで、知る人だけが知っていればいい。
誰にも見えない深い底。
私とあなたが手を伸ばしあっている。
美味しいご飯を食べます。