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短編『何も気にならなくなる薬』その220

「若者」

「巣穴」

「アマガエル」


「あの二人まだ帰って来てないの」
「ああ、巣穴で遊んでるよ」
「巣穴って、あの二人が聞いたら怒るわよ。秘密基地って言いなさいよ」
「秘密基地ね、オレからしたらあんなのはまだまだまだよ、それに泥だらけで帰ってくるんだから巣穴さ」
「そろそろ雨が降りそうだから帰ってきてほしいんだけど」
「噂をすれば、アマガエル達が帰ってきたぞ」
「あーもう、こんなに汚れて帰ってきて、はやくお風呂入りなさい。ポケットからティッシュとハンカチを出して、ちょっと、アマガエルのお父さんも一緒に入って」
「だれがアマガエルだよ」
「先に言ったのあなたでしょ、ほらはやく」
バタバタと服を脱ぐ音が収まれば、しばらくして湯船からお湯があふれる音がする。
「お前たち、こんなに泥だらけになって帰ってくるのは若者の特権だからな、ほら数えろ数えろ、いーち、にー」
「「いーち、にー、さーん」」
「ほんと、まるでカエルの合唱だわ」


美味しいご飯を食べます。