二、三十円
牛乳買ってきて。
とまぁ、仕入れの指令が入る。
この時間になるとどうにも買い物をできる場所は限られてくる。ましてや、雨が降っているので、最安値の店舗で買おうという足取りは水溜りのせいか重い。
近くて便利。その代わりに料金は取りますよ。それが便利の代償。
二、三十分歩いて得られるのが二十円の違いなら、徒労になってしまう。
本当はただ面倒くさいのを正当化するためだけに、家の近くの割高な店で牛乳を買う。
「こういうことの積み重ねなんだよ」
と節約至上主義をうたう人もいるが、こういう楽の積み重ねで得られる時間もあるのだ。
などなど、くだらないことを考える。
普段キッチンに立たない仕入れ係に、どうして牛乳が必要なのか訊ねると、帰ったらミルクティーにしたいそうだ。
結局作るのは私なのだ。
その事実を知ると少し腹立たしくもある。
カルシウムが足りないのかもしれない。
美味しいご飯を食べます。