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短編『何も気にならなくなる薬』その224

・丸洗い

「目の玉を取り出して丸洗いをしたい」
花粉症の時期になるとこのような言い回しが目や耳に入る。
全く持ってそのとおりだ。
今直ぐに様々な悩みとは無縁の世界へ飛び込みたくなる。
塩素の匂いが水面に漂っては空気中に広がっていく。
あのプールサイドにだけある、あの目を洗うためだけの蛇口が家にあったら便利ではないかと考える。
そんな考えを他所に芋煮のように子どもたちが水面を波立てる。
私も無邪気に遊びたいものだが立場がそれを許さない。
大人にはなりたくないものだ。あの頃に戻ってやりたい。
けれども、わたしもまた、そうした大人たちの我慢の中で無邪気に遊んでいたのだ。

・借り物競走
よく運動会のプログラムとして挙げられるが、私は借り物競走をした記憶はない。
無理難題に四苦八苦しながら子供たちが走り回る様は想像する分には面白いが当事者になるとなかなかに大変だろう。
借りたものを返す段取りも考えなくちゃいけない。
普通に考えればそんな厄介なプログラムを組むわけもないと思ってしまう。
所詮はマンガ、アニメのなかだけなのだろうか?
実際にやった人がいたら話を聞いてみたいものだ。

・減らず口
「減らず口をたたきやがって」
大人が子供に言っている印象がある。大人子供の構図でなくても上から下へ言っているような気がする。
大人になれば減らず口が減るのだろうか?
日本語としてあっているかはどうかとして、余計なことを言わないというのは日本人特有の美徳?のような気もする。
しかし、冗談を言う人はいる。
「余計なこと」というのはなんだろうか。
たぶそれは聴き手にとって耳障りで面白くないことを言う。
これは流石に聞き手のわがままな気がする。
いや、これこそ減らず口だろう。

美味しいご飯を食べます。