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魔界・京都を歩く(サイの河原は実在した)

京都には
東の鳥辺野(とりべの)
西の化野(あだしの)
北の蓮台野(れんだいの)
という3大葬送地があります。

前回は鳥辺野周辺の珍スポットである
六道珍皇寺と六波羅蜜寺を紹介しましたが、
今回は化野念仏寺を取り上げます。

「あだし」とは「はかない」「むなしい」という意味。
この地でも古来より人を朽ちるに任せる風葬が行われてきました。
およそ1200年前、弘法大使(空海)が野ざらしに
なっていた遺骸を埋葬して供養のために千体の石仏を埋め、
お寺を建立したのが化野念仏寺のはじまりとされています。

境内には「西院の河原」があります。
名前の由来はもちろん、三途の川のほとりにあり、
親に先立って死んだ子どもが石積みの塔を作る「賽の河原」です。
明治時代、この地に散在していた石仏を集められて作られました。
石仏(無縁仏=供養をする親族や縁者がいなくなったお墓)の数は
なんと8000体以上!
中央に阿弥陀仏像と十三重塔が建てられており、
極楽浄土で阿弥陀仏の説法を聴く人々の姿に
なぞらえて配列並べられています。
8月最終の土日には、供養のために
無縁仏にいっせいにローソクを灯す「千灯供養」が催されます。

8000体以上の石仏が並ぶ西院の河原
この石仏が全部骸骨だと思うと、なんとも言えない気持ちになりますね

ちなみに兼好法師の「徒然草」には、「あだし野の露消ゆる時なく鳥部山の烟立ちさらでのみ住果つる習ならば如何に物の哀れもなからん 世は定めなきこそいみじけれ」(もしもあだし野の露が消えず、鳥部山の煙が立ち消えないように、この世にいつまでも住み続けることになったなら、どんなに情緒がないことだろう。この世は無常であるからこそすばらしい)という一節があります。
「西院の河原」を眺めながらこれだけ(それ以上)の人々の白骨が散在していたのかと想像するとこの世のはかなさ、無情さを感じざるをえません。

境内を奥に進むと、Windowsの壁紙をはじめ、
CMや観光ポスターにも使われた美しい竹林があります。

CMなどにも使われた竹林

そして竹林を抜けると、六面六体地蔵が祀られています。地獄・餓鬼・畜生・修羅・人道・天道の6つの世界にいるお地蔵様を現わしたもので、「オン・カカカ・ビサンマエイ・ソワカ」と言いながらひしゃくで水をかけると罪障が洗い流されるそうです。

六面六体地蔵
六面六体地蔵さまについて
六面六体地蔵

訪問スポット:あだし野念仏寺
住所:京都府京都市右京区嵯峨鳥居本化野町17番地
アクセス:JR嵯峨野線 嵯峨嵐山駅徒歩30分ほか


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