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森ビヨ・勝手にアナザーストーリー8話

【森ビヨ・勝手にアナザーストーリー8話】

この作品は、勝手に考えた『眠れる森のビヨ』のアナザーストーリーです。
基本的に皆、幸せになって欲しい。序盤はネタバレ考えてません。
原作者さま、演劇女子部さま、アップフロントさまとは全く関係ありません。
ご了承ください。

※映像にするとこの話は8分程度
※全12話を予定しております
(作者の都合で変更になる可能性もあり)

【登場人物】

・ヒカル(17)

・ヒマリ(17)

・ツムギ(17)

・山上(18)

・浜田先輩(18)

・ネネ(17)

・夢子(17)

・ノゾミ(17)

・カナエ(17)

・タマエ(17)

・ユッコ(16)

・ショーコ(16)

※小嗣先輩(19) 演劇部OG。演技が上手い。明るく後輩をいじる

※蓮本先輩(19) 演劇部OB。眼鏡のインテリ系。透き通った歌を歌う

(※=オリジナルキャラクター)


1 崋山高校・屋上

  がらんとした屋上。

  フェンスの前にヒマリが立っており、遠くを見ている。

  そこへ、息も絶え絶えにヒカルがやってくる。

ヒカル「ヒマリ! ごめん、遅くなって!」

ヒマリ「もー遅いよ、ヒカル! 来ないかと思った!」

ヒカル「ほんと、ごめん! いつの間にか寝ちゃってて……」

ヒマリ「大丈夫なのー? 夜、ちゃんと寝てないの?」

ヒカル「そういう訳じゃないんだけど、何かずっと眠くて……」

  ヒマリ、手ぶらのヒカルに気が付き

ヒマリ「それで、お昼ご飯は?」

ヒカル「……あ」

ヒマリ「ヒカル、最近、何か抜けてるよねー」

ヒカル「はーあ。今から購買行っても何にも売ってないだろうなぁ」

ヒマリ「しょうがないなぁー。ヒマリのお弁当分けてあげる」

ヒカル「まじでー?」

ヒマリ「その代わり、今度、放課後、ヒマリの行きたい喫茶店付き合ってよね!」

ヒカル「行く行く! 全然奢る! 奢らせていただきます!」

  その時、屋上のドアをツムギが開けて、入ってくる。

ツムギ「あ、ヒカル探したよ」

ヒカル「おーどうかした?」

ツムギ「蓮本先輩が早めにいらしたみたいで、ヒカルのこと探してたよ」

ヒカル「え、こんなに早く?」

ツムギ「今、山上部長と一緒に待ってるから、すぐ行ける?」

ヒカル「分かった! ヒマリ、本当にごめん、呼ばれちゃったから行くね。今度、絶対埋め合わせはするから……」

ヒマリ「えー!」

ヒカル「マジでごめんね。ちょっと行ってくる」

ヒマリ「ちょっと、ヒカルー!」

  ヒカル、屋上を出ていく。

  ツムギ、ヒカルを見送ると真顔でヒマリに近づいてくる。

ツムギ「ねぇ」

ヒマリ「え、私?!」

ツムギ「キミ以外に誰がいるの?」

ヒマリ「……あなた、何者?」

ツムギ「何者って、ヒカルと同じ演劇部の同期だよ」

ヒマリ「あなた、前はいなかった」

ツムギ「前って? キミ、やっぱり、この時間の人間じゃ……」

  その時、勢いよくドアが開く。

  振り返るとヒカルの姿。

ヒカル「ツムギ! 先輩、どこで待ってるんだっけ?!」

ツムギ「(いつもの表情に戻り)ああ、部室だよ。一緒に行こうか」

  ヒカルとツムギ、屋上から一緒に出ていく。

ヒマリ「何なの、アイツ……」


2 同・体育館舞台

  部員一同が集まる中、中心に蓮本先輩と小嗣がいる。

蓮本「新人デビューの公演は、20分。地区大会の60分の劇に比べて非常に短いものだ。だから、余り肩肘張らずに挑んでくれよ。新入生のデビュー戦だから、先輩たちもサポートしてやってくれ。それじゃ、配役を発表する」

  ざわざわし始める部員達。

小嗣「ゲルタ役・ユッコ。カイ役・ヒカル。雪の女王役・ツムギ。悪魔役・浜田。雪の女王の手下役・ノゾミ、カナエ、タマエ。花の庭の主役・夢子。山賊の長役・山上。山賊の娘役・ショーコ。音楽・ネネ。演出は山上と私たち。照明は空いてる役者で回す。どうかしら?」

浜田「賛成でーす」

ノゾミ「意義ナーシ!」

カナエ「右に同じくー」

タマエ「更に右に同じくー」

ネネ「私は、ピアノが弾ければ何でも~」

ショーコ「ユッコ、主役なんて凄いじゃん!」

ユッコ「そ、そんなことないよ~」

蓮本「新入生がメインだから、二人とも見せ場は作るつもりだよ。この前のエチュードと原作童話を参考に、脚本の叩き台は作ったし、後はヒカルに任せるから」

ヒカル「えぇ……僕で良いんですか?」

小嗣「私たちも頻繁に来れる訳じゃないしね。現役に書いてもらうのが一番!」

夢子「ヒカルくんなら、適任だと思う」

山上「俺もヒカルなら、やれると思うよ」

ノゾミ「しっかりやれよー、ヒカル!」

ヒカル「は、はぁい……」


3 同・通学路(夕)

  すっかり夕暮れの通学路。

  ヒカルとツムギが並んで歩いている。

  ヒカル、考え事で、眉間に深い皺ができている。

ツムギ「もしかして脚本考えてる?」

ヒカル「うん。やっぱりラストしっくりこないなぁって」

ツムギ「どうして?」

ヒカル「雪の女王は、どうしてカイを自由にしたんだと思う?」

ツムギ「うーん、どうしてかな?」

ヒカル「悪魔の鏡の欠片が刺さったのはたまたまな訳じゃん? これまで、カイを自由にしなかったのはカイ自身なんだよね。カイは雪の女王のキスで記憶を失っていたけど、自分で望んで女王の城にいた訳だよね」

ツムギ「そう言われたらそうだよね。居心地が良かったとか?」

ヒカル「うん。それにカイはきっと女王自体にも魅力を感じていたんじゃないかと思って」

ツムギ「なるほどね、そうかもしれない!」

ヒカル「そう思ったら、雪の女王だけが悪者になるような展開にはしたくないんだよね」

ツムギ「……ヒカルは皆を救いたいんだ?」

ヒカル「うん、救えるなら雪の女王も幸せにしたいなって」

ツムギ「そうできたら良いよね」

ヒカル「やっぱりそう思う? この前、ヒマリに話したら、雪の女王がカイを誘拐したんだから悪い奴じゃんって言われちゃってさ……」

ツムギ「そうなんだ。僕はそんな事ないと思うな。雪の女王は孤独だっただけ」

ヒカル「そうそう! 雪の女王は孤独なんだよ! ツムギもそう思った?」

ツムギ「あ、あぁ、うん!」

ヒカル「やっぱり、雪の女王も救うためには……」

  ヒカル、一人で喋りながら歩いて行く。

  ツムギ、ヒカルの後ろ姿を見ながらぼそりと

ツムギ「……ヒカル、雪の女王は孤独なんだよ」

【次回へ続く!】

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