見出し画像

MBAクラスメイト①愛すべきインド人編〜前編〜『俺がプレジデントだぁ!』

MBA生活は非常に刺激的だった。

授業は全部英語なのでずっと英語を聞いていなくてはいけないし、
ずっと英語で話さないといけなかった。(当たり前)まともな海外経験がなかった僕には非常にエキサイティングであり、かつ精神的には消耗した。お金もなかったし。

ただ、それを上回り、個性豊かな同級生たちとの1年間は楽しかったし、自分の人生の経験としてプラスになった。価値観や視野が広くなっただけではなく、英語に対するトラウマ的な恐怖感はなくなった。

今回は、そんなMBA生活を共に過ごした友人たちの話をしたいと思う。
MBAには世界各国から様々な人たちが勉強しにきている。それは多種多様な人種、バックグラウンドで、まさにダイバーシティと言える。

その友人たちをご紹介したい。
注>あくまで個人的なイメージです。


愛すべきクラスメイトたち紹介


▫️インド人
めちゃくちゃ訛っているため何を言っているかわからないが、プレゼンなどは堂々としていて、すごいこと言ってる空気感づくりが半端なくうまい。実際にそれで数千万円の出資を獲得した人もいる。よく喋るおしゃべりな人が多い印象。

▫️中国人
中国人同士で常に集団行動をしていて、結束力はかなり強い。そして主張も強い。変な反論の仕方をすると非常に感情的に反論してくるので注意。ただ一度心を許してもらえれば、家族のようになり、非常に面倒をよく見てくれる。本当にネットワーク命の彼ら、無駄なことはしたくないというのがはっきりしていてわかりやすい。

▫️香港人
中国人ではない、というプライドがある。あくまで香港人。中国人よりも理性的で控えめだが、かなり頑固な人が多いかも。ただ非常にバランスが取れている人が多かった。あと香港もイギリス統治の名残なのか階級社会。一般層とアッパー層の生活はかなり乖離している。

▫️ドイツ人
時間に正確なのは日本人に似ている。約束の前日の夜に、唯一「明日の集合場所はどこにする?」と連絡してくる感じ。日本人に近いので非常に安心感はある。お酒飲むのが好き。よく一緒に飲んだし、パーティ好きでもある。でも理屈屋で自分からは謝らないこともある。

▫️イギリス人
めちゃくちゃお金持ちだけど、実はほとんどが嘘ばかりだったイギリス人が同級生にいた。(金持ちなのは本当だった)実はスタンフォードに入れなくてうちの学校に来たという噂。日本円で家賃100万以上のマンションに住んでいた。

▫️アメリカ人
典型的なギーク。ゲーム大好きなオタク。メガネをかけて小太り。よくハリウッド映画に出てくる部屋で、ピザを食べながらパソコンを操作して、主人公の逃亡を助けるようなイメージそのまんま。人の話をあまり聞かない。

▫️カナダ人
クールでサバサバ。まだ20代半ば過ぎ(職歴3年ちょっと)と若かったので尖っている。俺様主義で仕切らないと気が済まない反面、興味がないことには一切首を突っ込まない。実は仕事が早く誰よりもグループワークのタスクをこなしていた。

▫️オーストリア人
絵に描いたような美人。映画の登場人物のようなビジュアル。緊張しいなのか授業中に発表すると顔が真っ赤に。プレゼン前などはソワソワし照るのが手に取るようにわかる。某有名アルコール飲料の副社長の娘。

▫️韓国人
元軍隊出身だったり、ファミリービジネスをやっている人が多かった。よく辛ラーメンを作ってくれた。韓国人ということに誇りを持っている人が多かった気がする。ちょっと怠け者もいた。団結力は日本人よりもはるかにある。


ちなみに上記は僕が特に一緒にいた同級生たちのイメージである。彼らの本質とは違う部分もあるだろうし、全ての人に当てはまるステレオタイプの評価ではないことは事前に断っておきたい。

この個性豊かな同級生たちの中から、今回はインド人をご紹介したい。


『俺がプレジデントだぁ!』


インド人とまともに話したのはこの留学が初めてだったかもしれない。

日本にいるときはインド料理のレストランで、注文をするくらいしかなかった。
MBAでインド人の割合は約24%。50%程度の中国人に次いで多い割合だ。

インド人の英語は、聞いたことがある人はわかると思うが非常に訛っている。
巻き舌のような発音で話すので、聞き取りにくく、それでいて非常に早口だ。
耳が慣れるまで最初は何を話しているのかわからないので、非常に困った。

でも彼らは非常に人懐っこく、知り合ってまもないのによく話しかけてくれた。
そしてすぐに僕の名前を呼んでくれるのだが、こちらは大量にいるインド人の
名前を覚えるのに一苦労。イシャンだかドゥシャンだかラジェッシュだかラジャ二だか。プラジワルとプラメグとか。

顔もなかなか見分けがつかなくて、そしてなかなか名前が覚えられなくて苦労した。たまに名前を間違えて呼んだりもした。本当にごめんなさい。

そんなインド人だが、非常に自己主張が強い。
日本人からすると非常にびっくりするぐらいに主張してくるので最初は戸惑った。

例えば入学後に自由に設立したり参加できるクラブがある。例えばコンサルティングクラブなるクラブは、卒業後のコンサル就職を目指すクラスメートたちがこぞって入っていたし、アントレプレナークラブなどもあり、現地の起業家を招いたりもしていたし、ラグジュアリーマーケティングクラブなるハイブランドのマーケティングを主に研究・リサーチなどを行うクラブなど、就職や自分のキャリアに結びつきそうなクラブから、ドローンクラブなどの趣味や興味に基づいたものもあり、おそらく12〜15個くらい存在していたと思う。

そんなクラブ活動でもインド人の彼らの自己主張の強さは発揮される。
各クラブで、プレジデント、バイスプレジデントなど各役職を決めるのだが、だいたいインド人は「俺がプレジデントだっ!」と立候補していた。

ほぼ、どのクラブでもインド人が在籍しているところでは、このプレジデント争いが行われていた。だいたいがクラブ内でのメンバー投票になるのだが、ここでのロビー活動も熾烈だったりする。「俺に投票してくれ!あいつよりも俺の方がふさわしいだろ、だって俺は前の会社でうんぬんかんぬん、、、」そこには謙虚という言葉は存在しない。

ちなみになぜここまでみんなプレジデントになりたいかというと、各クラブでプレジデントやバイスプレジデントになるとMBAオフィスから点数がもらえる。その点数によって、後半の交換留学先の学校の申し込み選考が有利になったりする。みんな交換留学先は他の地域のトップ校に行きたいのである。他には成績や授業の評価などが考慮される。

(ちなみに僕は交換留学には行っていない。交換留学を選択すると、後半の授業のクレジットを交換留学先で取得することになるので、4ヶ月ほどプログラム時間が長くなる。逆にいうと授業のスケジュールはそのぶん緩くなり多少の余裕は生まれてくる。ただそのぶん生活費も4ヶ月分余分に必要になるし、皆が好んで交換留学先に選んでいた欧米(北米とヨーロッパ)の交換留学だと引っ越しも伴い、その分余計にお金がかかってくる。私費留学の僕にはその余裕がなく、また12ヶ月で卒業したかった僕には当初から選択肢になかった。)

この一連の立候補合戦とロビー活動を見ていて、そこまでするのか!と当時は思ったものだが、今思うとこの自分をアピールする姿勢は日本人が世界で戦う上では必要なことだと感じる。

自分がやりたいと声を上げることで、自分をアピールしチャンスを掴むことができる。きちんと自分の意見を主張できないと、そもそも存在意義を問われてくる。当たり前のことだが、日本人の美徳とする価値観とは相反するものだろう。

これは上記のクラブ活動だけでなく、普段の授業も一緒だし、日常生活も同じである。英語へのプレッシャーや的外れなことを言ったらひんしゅくを買うんじゃないか、とか考える必要はない。とにかく発言する必要がある。それはある種の存在アピールである。

恥ずかしがらないでいい。じっくり耳をすまして友人の発言を聞いてみてほしい。日本人のある程度の職歴がある人でMBAを志している人はそれなりに優秀だと思う。そんな人からすると意外と大したことを言っていなかったりする。時にはそれはないでしょ、みたいなことを言っていたりもするが、それがきっかけで議論が起これば、その発言者は存在意義を認められることにもなるのだ。

もちろんあまりに的外れなことばかりを言っていてはダメだが、、、

そして何も発言をしないのは、いないのと同じに等しい。そしてこれは本当に実感していることだが、授業中に発言をすることにより、その授業は格段に記憶に残りやすい。MBAへの貴重な時間とお金の投資を無駄にしないためにも、ぜひ発言をしてみてほしい。これは日本にいても同様だろう。発言することで適度な緊張感が保たれ、眠くもなくなるし、フィードバックや他の人の発言にもきちんと意識を向けるようになる。とりあえず何かを発言することを意識してみるといいと思う。

さて、話を戻しして、このインド人たちはMBAの期間中にあったスタディトリップでも、なかなかびっくりな出来事があった。


『シューってやったからもう大丈夫だろ!(ドヤ顔)』


それは最初のTermが終わった後に行われたスタディトリップでの出来事。そのスタディトリップでは、いくつかのエリアが選択でき、学生たちは各々が選択した海外のエリアに行くことになっていた。当時はヨーロッパ(場所忘れました、多分ドイツ?)、アメリカ(シリコンバレー)、台湾(台北〜台中)、シンガポール、中国などだったと思う。

そんなスタディトリップのシンガポールで起こった話。

飛行機に乗る際に、空港で100g以上のスプレーは機内持ち込みできないことになっているのはみなさんご存知だと思う。(航空会社で違いがあるかもだけど)

とあるインド人のクラスメートは、手荷物検査でスプレー缶のデオドラントを発見された。そのスプレーはちょうど100gだった。当然、係員は彼を止め、持ち込みできない旨を伝えた。


係員『これは持ち込めません。こちらで回収していいですか?』

インド人『なんでですか!!??』

係員『100gを超えるものは持ち込めません』

<<そのインド人の友人は自分にシューーと3秒ほどスプレーを吹きかけた>>

インド人「今ので間違いなく100gを切ったから持ち込んでもいいよね?」

係員『ダメです。すいません。』


こんな方法で回収を逃れようとしたのは初めてだ。衝撃だった。

屁理屈もいいところである。でもそうやって彼らはあらゆる場面において交渉しようとするのである。時には屁理屈であり、時には非常に鬱陶しい。でもそれがインド流なのかもしれない。

海外では予測不能なことが起きるし、お願いしていたことをしてもらえないとか、日本にいては予想できない出来事がたくさん起こる。

そんな時には自分で粘り強く交渉することが必要になる。

インド人の同級生たちをみていると、そんな交渉力が世界をサバイブするのに必要なのかもしれないと思う。そして彼らは優秀である。

とりあえず交渉してみる、とりあえず聞いてみる。
このスタンスは僕も見習おうと思って実践している。

が、日本にいるとどうしてもおとなしくなっている自分がいる。

もっと積極的に交渉しないと。。。
そう思って今日も小心者の心を奮い立たせるのである。



Chineeland 秦でした。
それでは再见!


日本と中国をエンタメで繋ぐのが目標です。青島ビールを毎週末飲んでいます。サポートいただいた場合は、美味しい青島ビールの購入費用にさせていただきます。