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あの子は過去の私だった【最高の教師感想】

どうも~千夏です。
今回は最高の教師最終回の感想【ネタバレあり】を書きます。

あの子とは最高の教師のキーマンです。ここからはネタバレありなので、まだ未視聴の方はご注意ください。




ネタバレ回避用に開けておきます。














最高の教師で九条先生の背中を押した彼の告白を聞いた時、共感してしまった。
あれは過去の私だ。3年前の私と重なってしまう。
私は誰かを〇したいと思ったことはない。(自分だけがこの世の悪の権化だと思い込んでいた。)そして時期も若干異なる。卒業式よりも前高校3年の前期に彼と似た衝動に駆られていた。
そんな時学校の先生に話を聞いてもらい、なんとか最悪の状態から徐々に回復することができた。
でも私はモノクロ映画のような世界を生きていたし、世界は変わらないと諦めていた。死とは何かを考えてしまう瞬間は多かったし、いくら命の大切さを言われても響くことはなかった。彼と同じように両親は良い人で、お金に困ったこともない。それゆえにモノクロみたいな景色やいつも自分だけが違う世界に放り込まれた感覚を人に言うことはできなかった。

様々な視聴者の感想を見ると彼を「サイコパス」か「うつ」、「アスペルガー」の一言で片付けてしまう人がたくさんいることが分かる。
でも、本当にそうなんだろうか。彼の告白にあったように見る側(=視聴者)は「決定的な何か」を欲しがる。
だけど彼にとっては決定的な何かは存在しなかった。
それゆえに人に言えない鬱鬱とした気持ちを持ち続けて過ごしてしまったのだと思う。ここからドラマのあらすじまとめなので知っている方は次の☆マーク3つのところまで読み飛ばしてください。
※キャストについては敬称略です。


例えば鵜久森さん(芦田愛菜)は酷いイジメにあっていた。
瓜生くん(山時聡真)はたくさんのバイトをしながら、兄弟の面倒を見、親に愛されていないことを自覚していた。
江波さん(本田仁美)は家庭に居場所が無いと思い、人に流されることで(間接的にだが)いじめに加担するという悪事を働いたり、悪い幼なじみに利用されるという悲劇にあってしまったりする。
工学研究会に属する眉村くんと日暮くんは教室のカースト制によって直接先生に助けを求めることを諦める。


瑞奈さん(詩羽)は芸能界にいることで誹謗中傷を受け「みんな」と距離を取る。
相楽くん(加藤清史郎)は親を亡くし、悲しい気持ちを笑って誤魔化して過ごすようになり、西野さん(茅島みずき)は教室の変化に耐えられなくなり、お金があることを利用して鵜久森さんに酷い仕打ちを仕掛ける。☆☆☆

このようにドラマの登場人物はバックボーンや悩み、きっかけが非常に分かりやすく描かれている。


でも星崎くん(奥平大兼)は違っていた。

友達グループ(藤原、目白、神楽。人物相関図の紐の色が同じであったため)に属し、いじめにもあっておらず、問題児集団に指図されることもなく、過ごしている。
カメラを持っているのは確かに怪しいが、「普通の子」である。
そして彼の悩みはとてもわかりにくい。



私も彼と似ていた。
いじめにあったり、加担したり、スクールカーストの中で感情を○していった結果担任との面談で「あなたは客観的すぎる、あなただってクラスの一員なのよ」とあきれられた。
親は価値観のすれ違いこそあれど私に尽くしてくれていた。毎日困りごとだらけで初めは先生に相談し、自分でも解決策を探っていた。
しかし困りごとがあることが当たり前で、頑張るほど空回りしてしまい、
助けを求めることができなくなっていった。

中学時代は「問題児」だった子が多くいたのだが、高校に上がると問題を改善できるように成長したか、先生が対処しきれずに高校に進学させてもらえなかったかのどちらかだった。

今思えば幼稚園時代から周りとの違いを自覚していたのだが、小2の頃から失敗するのが怖く臆病になることと、自身を取り戻し成功体験を積み重ねることを繰り返し、高校時代にパタリと意欲が消えた。
世界がモノクロになったきっかけはあるが、幼少期からの小さな失敗の積み重ねとしか言いようがなくなぜ絶望しているのか自分でも分からなかった。

私は進学した大学で様々な経験を持つ人と出会い、話をしていくことで世界の色を取り戻すことができた。哲学的だね、個性的だねと言われることはあるが浮くことの怖さを感じることは減った。
できないことに対しては周りとの違いを感じ病院にも行ってみたが診断はつかず、思考も哲学的なままだが、メンタルは安定し、もう星崎くんのような行為をしたいと思うこともない。
このnoteを始めたのも自分の世界に色が付き始めたころと同時期だった。


ドラマを見ていた人が身近な「星崎くん」に気づいて、良い距離で寄り添えるそんな存在になることを願う。
そしてドラマを見ていた私もそんな存在の人を否定せず、こういう人もいるよと肯定できたら良いなと思った。

重い話ですがこんなところで終わります。それではまた~。


※人と違う感覚という点は私と星崎くんはどちらも持っていますが私に発達障害的特性がある=星崎くんも障害があるというわけではありません。
簡単に作中の登場人物に障害の有無を決めてはいけないと思うのです。はっきり台詞や描写がなかったため断定することはできません。

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