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1歳の息子が、お風呂で溺れた。

2020年夏の暑い日。

1歳10ヶ月の息子が溺れた。

海や川ではなく、自宅のお風呂で。

しかも私はその時、息子のわずか50cm以内にいた。

なのに・・・数10秒も溺れていることに気づかなかった

抱き上げた瞬間、「ハーッハーッ」と普通じゃない泣き声を上げながら、呼吸を荒く息をする息子の様子は、多分一生忘れることができない。

この文章を書くことで「母親としてちゃんと見るべきだろ」とお叱りを受けるかも知れない。本当にその通りで、とても反省している。

溺水による死亡事故といえば、海や川で起こるイメージが強い。でも4歳までは浴槽内が最も多いそうだ。もしかしたら同じようなことに遭遇し、取り返しのつかないことになる方もいるかもしれない。そう思って、私の失敗とそこから考えたことを書いてみることにした。

事件はいつもの湯船で起きた

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その日、私は朝からやることが多くてバタバタと動き回り、いつもよりもだいぶ疲れていた。3歳の長男はお昼寝もしていなかったので、早めにお風呂に入れて、夜は早く寝かせようと思った。

まだ空も明るい、夕方16時台のことだ。

長男が「ママ〜お湯入れて〜」と言った。いつも夏はシャワーですます私たちだけど、まあいっか、今日は時間もあるし。浴槽にお湯を沸かすことにした。

お風呂だと兄弟でキャッキャと楽しそうに遊んでくれる。遊ばせている間に私はゆっくり洗えるので、好都合だとも思った。

お風呂のお湯を入れると、息子たちは2人で、おもちゃのバケツに水を入れたり、お風呂に持ち込んだ消防車のミニカーを淵に走らせて遊んでくれた。私はすぐその横で、その日子供たちが汚したパンツやズボンを手で洗濯したりした。

ふう。こうして2人で遊んでいてくれると、私は自分のことにボーッと専念でき、ちょっと助かる。部屋で遊んでいると「ママ〜!」と呼ばれることが1時間35回くらいある。その度に「なに〜?」と振り向き、作業の手を止め、頭を会話に切り替え・・・と言うことを1日中ずっと続け、なんだかとても疲れてしまっていた。

洗濯が終わると、私は2人が湯船で遊んでいるうちに、自分の髪や体を洗ってしまおうと思った。

息子たちは相変わらず楽しそうに遊んでいる。シャワーで遊んでいたせいで、いつもより少し湯量が多い気がしたけど、まあ大丈夫か。1歳の次男も、しっかり立てるようになったわけだし。

それに3歳の長男は、いつも1歳の次男が何か危険なことをすると、すぐに私に教えてくれる。例えば小さいおもちゃを飲み込みそうな時や、紐状のものを首にかけてしまいそうな時、いつも「ママ!●●ちゃんがあぶない」と言ってくれるのだ。だから私は安心していた。

私は自分の髪を濡らし、シャンプーをつけ、下を向いて髪を洗った。コロナがあってからなかなか美容院に行けず、髪もいつもより伸びていた。下を向いて上からシャワーをかけると、長い髪がすだれのようになり、遮られたように周囲が見えなくなる。

あいにく、いつものシャンプーを切らしていて、家に残っていた泡立ちの悪いシャンプーを使っていて洗うことに時間がかかった。

子供たちが大丈夫か気になったけど、相変わらず楽しそうな声がしているし、私は髪を洗うことに集中した。

・・・すると、シャワーの向こうで長男の声が聞こえた気がする。

「●●ちゃんが、泳いでる」

うん、泳いでる?と思ったけど、長男の声は叫んでいるような感じではなく普通の声だったので、「それなら大丈夫」と瞬間的に思った。

私は髪を洗うことを継続した。

その時たまたま妹が家に遊びに来ていて、「お姉ちゃ〜ん!」と呼ぶ声が、背後にあるお風呂場のドアの方から聞こえた。これは後から考えると、神のタイミングとしか言いようがない。私は「うん?」と後ろを振り向く途中、ついでに浴槽の方に目をやる。すると・・・

!!!!!!!!!!

湯船にうつ伏せになり、沈んでいく、次男の小さな白い背中が目に飛び込んできた。長男は、沈む次男の横で、消防車を走らせて遊んでいる。

私は慌てて次男を湯船の中から抱きかかえて救い出し、背中をさすって息をさせた。

「大丈夫?大丈夫?ごめん、ごめん・・・」

次男は荒く息をし、今までにない、激しい泣き方で泣いている。ああごめん。苦しかったよね・・・。私は膝の上で次男をさすった。

この時、長男を出産した産院で「万が一お風呂に赤ちゃんを間違って落としてしまったら、とりあえず泣かせましょう。泣けば呼吸しているので心配いりません。あとはもう洗わずにその日はお風呂から出てください」と言われたことを思い出す。

私は慌てて、次男をお風呂から出した。(妹がピックアップしてくれた。感謝!)

子供は静かに溺れる

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バズフィードさんの記事より引用)

「子供が溺れる」と言うと、バシャバシャと水をかき乱し、泣いたり叫んだりするイメージがないだろうか?しかし我が家で起きた時は、これとは全く異なる。次男は、静かにただ沈んでいた。だから気づくのに時間がかかった。

この状態が、あと1分長く続いていたら?もし妹が私を呼びにこなかったら・・・?考えるととても恐ろしい。

この静かに溺れる現象は「本能的溺水反応」と言うそう。本能的に、騒ぐとか水を叩くとかすることなく、水に沈んで行ってしまうらしい。

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バズフィードさんの記事より引用)

ましてや1歳の次男は水に溺れた経験は初めてに近く、「自分が溺れている」と言う自覚がなかったと思う。もし自覚があれば手足をバタバタすることもできたかもしれないが、そうではなく、水の中でただ静かにうつ伏せで浮いていた。

では、今後私たちが親として、子供を家の中での水の事故から守るためにできることは何なのだろうか?今回の失敗をもとに、私なりに考えてみた。

洗髪中も30秒に1回は子供を見る

お風呂での溺水事故が最も起こりやすいシーンは親の洗髪中だそうだ。特に1〜2歳のまだ足腰がしっかりしていない年齢だと、お風呂で転んでも立ち上がることが難しい。そのため溺れやすくなってしまう。

自分の洗髪時は視界が遮られる上、一気に速く洗ってしまいたいと思うあまり、私は脇目もふらずに洗っていた。でもその間でも面倒がらずに、30秒に1回は子供の方を見るようにしようと思った。

ちなみに溺れてから5分を経過すると、脳に障害が残ってしまうこともあるそうだ。

スピーディに洗えるシャンプーを使う

次男が溺れた時、その日だけタイミング悪くシャンプーを泡立ちの悪いものを使っていた。これをスピーディに泡立つものに変更することで、子供に目を向けやすくなると思った。髪をもう少し短くするのも良いかもしれない。(が、ここは悩む)

お風呂にお湯を残さない

お風呂のお湯を残した場合、そこに誤って子供が入ってしまい、溺れていることに気づかないことがある。また子供はたった数センチの深さでも溺れてしまうのだそう。(鼻と口が覆われる深さの水があれば、溺れるのには十分だそう)それでも残り湯をする必要がある家庭では、蓋を絶対に閉めておくなどの工夫が有効だと思う。

水遊び中も親が楽しみながら監視する

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またビニールプールや小川などでの水遊び中は、親が楽しみながら子供を監視できる仕組みをつくるといい。

私は水遊びをさせている時は、足だけ冷たい水に浸かりながら、片耳だけイヤホンをして本を聴いて読書することが多いAmazonのオーディブルで「耳読」すると、遊ばせながら自分も知りたい情報が得られるので一石二鳥。今なら最初の1冊は無料らしい!

もちろん、目は絶対に子供を見ていることがポイント。子供との水遊びが親も楽しくなるからこれはおすすめ。

親が疲れをためすぎない!

水の事故だけでなく、子供に注意をはらって他の事故も防ぐために、親が疲れをためすぎないことが一番大事だと思った。
今回も私は疲れていて、子供に目を向けるのでさえも億劫に感じた。そうならないよう、例えば「惣菜を買って夕食にする」「子供と9時に寝る」など、私が疲れないための工夫ももっと考えていこうと思う。

万が一溺れたらどうする?

それでも万が一溺れてしまったら、一刻も速く心肺蘇生法を行うことがとにかく大事なのだそう。子供の心肺蘇生法は大人とは違う。一度動画などを見て確認をしておくといいと思った。(下記は5分程度で見られる)

そして救急車だけでなく、近隣の人やマンションの管理人など、とにかくそばにいる人を呼んで、協力してもらうことも大切だそうだ。


まだまだ暑い日が続き、水遊びを家の中でも外でもする人が多いと思う。私の失敗とこの記事が役立てば、こんなに嬉しいことはない。

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せっかく生まれてきてくれたこの大切なふたりの命を守れるのは、
私しかいない。今日もそれを胸に刻んで過ごそうと思う。

小森谷 友美  
Twitterでも子育て話をつぶやいています


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