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葬祭ビジネスは、本当に成長市場か? グラフで見る葬祭市場~前編

葬祭ビジネスの市場規模推移

人口構成の変化により国内の死亡者数は年々増加しているものの、葬儀金額規模の縮小や参入事業者間の価格競争により、葬祭ビジネスの市場規模は微増傾向(+0.6%成長)

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(クリックで拡大)参照:矢野経済研究所

2兆円もの市場規模がある市場は、ホテル業や食品宅配市場(生協やデリバリー)に匹敵する一大産業である。そこであまり知られていない葬祭市場に関してまとめてみた。

市場環境(マクロ要因)~死亡者数と1件あたりの葬儀費用でトレンド見てみよう

死亡者数:2040年までの死亡者数推計では、年率1%で増加し、需要が拡大

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(クリックで拡大)参照:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」(2017年)

1件あたりの葬儀費用:葬儀の小型化・簡素化や老々葬儀などにより葬儀単価は下落傾向

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(クリックで拡大)参照:経済産業省『特定サービス産業動態統計:葬儀業

市場環境(顧客要因)~「一般葬」から「家族葬」へシフト

葬儀の種類は4種に分けられ、一般葬が主流である

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(クリックで拡大)参照:公正取引委員会「葬儀の取引に関する実態調査報告書」

しかし、近年は家族葬のニーズが増加傾向。今後も「家族葬」が葬祭ビジネスで最も成長性の高い分野。

遺族が周囲に声をかけないで済ませてしまう葬儀が増えている。高齢化が進展しているため、死亡者は定年を迎えて数十年たった人が多く、社会的なつながりがない人が増えている。遺族側も高齢者である場合が多く、葬儀施行を簡素に行いたいというニーズがある。(インタビューより)

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(クリックで拡大)参照:公正取引委員会「葬儀の取引に関する実態調査報告書」

市場環境(競合要因)~異業種からの参入が増加

地元基盤の中小企業が多く、分散型の市場構造ではあるが、葬儀業事業者数は増加傾向。2014年の2,082か所から2019年の2,496か所へと年平均3.7%で急増

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(背景)葬祭業には関連法規制や許認可制度がなく、参入障壁は低い
本業界は、参入障壁となるような関連法規制は存在せず、官庁による許認可制度もない。ただし、火葬場を保有する葬祭事業者には、火葬場設置の許認可や遺体埋葬(墓地)に関する「墓地・埋葬等に関する法律」が存在。

葬儀業界はIT化が遅れている業種の1つであると言われていたが、近年ではインターネット上で顧客接点を持って集客し、集客した顧客を葬儀社に紹介する、(自前の会館を持たない)葬儀仲介事業者が増えている
こうした葬儀仲介事業者は、それまで不透明であった葬儀式の価格設定を見直し、無駄を省いた透明性の高い、低価格の葬儀パッケージを設定し、予め決められた価格で葬儀を行うことができることを顧客に訴求しており、都市部で増加している低価格の簡易葬のニーズの高まりとともに、これを強みとして実施件数を拡大してきた。
一方で、自社で会館を持つ既存葬儀事業者に対しては、式場の稼働率向上を訴求したうえで、葬儀仲介事業者が設定したパッケージ型の葬儀案件を紹介しており、提携する式場・葬儀社の数を拡大している。

葬祭ビジネスのまとめ

➀市場規模は約2兆円。死亡者数の増加するが、葬儀の小型化・簡素化や老々葬儀などにより葬儀単価は下落傾向であり、今後の市場見通しは微増

葬儀の種類は4種に分けられ、参列を行う一般葬が主流である。近年は社会的構造の変化により、一般葬から家族葬にニーズがシフト

③葬祭業には関連法規制や許認可制度がなく、参入障壁は低い。自前の葬儀会館を持たず、インターネットで集客した顧客を葬儀社に紹介する仲介ビジネスや異業種の参入が相次ぐ。

以上が葬祭市場の市場環境をまとめた前半でした。後半では競争が激化する葬祭ビジネスで今後も成長が見込めるサービスや企業について紹介していこうと思います。

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