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中国越境ビジネス「いろは」の「い」 春節をまたぐ発注に注意!

よくある経営者の嘆き

この部材は中国で生産しているものだな。納期は2ヶ月+船便でのデリバリーだから、今日は11月15日、来年2023年の2月初旬には納品されるな。2月中旬には必要だから、そろそろ発注しておこう・・・
資材発注担当者の皆さん!ちょっと待った~~(古い~)!!このスケジュールでは間に合いません。なぜならこの発注は中国の春節の期間にまたがってしまうからです。

「故郷に戻ったまま社員が帰ってこなかった・・・」こんな嘆きも現地の経営者からよく聞かれます。私たちの経験では、春節後はベテラン社員の退職があったり人が一時的に足りなくなったりし、ミスも起こりやすい時期でもあると見込んで、同じ内容であっても確認を怠らないなど常に細心の注意を払って仕事をしています。

なぜ、春節はかくも長い休みなのか?

ちなみに、、、2023年の春節休暇はこのようになっています。
大晦日1月21日(土曜日)
元旦 1月22日(日曜日)
連続休暇は、1月21日~1月28日の7日間です。

ところがカレンダー上では7日間の休みにもかかわらず、実際には各社でもっと長い春節休暇が設定されます。
こちらは広東省佛山にある工場の実際のカレンダーです。緑色の日付の1月11日から2月1日の22日間連続休暇となります。なぜこのような長い休暇なのでしょうか?

広州・佛山市にあるガラスメーカーのカレンダー

中国沿岸部には北京、上海、広州などの大都会が集中しており、内陸部からの出稼ぎ労働者が大変多いです。彼らが帰省するために、高速鉄道や飛行機のチケットを取ろうとしても、春節前数日間のチケットはすぐに売り切れ、おのずと前日のチケットにどんどん繰り上げて購入することになります。車を何日も運転し帰省する人も多く、道路は大渋滞です。
また帰省したあとは家族、親戚、友人たちと会い、食事をしてお土産を渡すという重大なイベントが何日も続くので、7日間の休日では到底足りません。人手不足の中、春節休みが短い企業には社員が集まらないという現象が起きてしまいます。そこで自ずと休暇日数が長くなっていきます。

数日のタイムラグが数か月にも

この会社のカレンダーには、「11月11日までのご注文分は春節前に出荷します」と明言されています。つまり、最初の例でいくと11月15日に注文した場合(数日違いの発注であっても)、いくら急いでも2月9日以降の出荷になってしまい、船便で日本に納品されるのは3月初旬となってしまうことでしょう。
春節期間中はすべての社員が完全に休暇となり工場も閉まってしまいます。
さらに実際には元宵節(小正月、2月15日)まで会社に戻らない社員も多く、ほぼ1ヵ月会社が正常に稼働しない状態となってしまいます。
春節は1月下旬から2月中旬ですが、毎年日が変わるので、必ずチェックが必要です。

中国の方にとって春節とは?

春節とは旧暦の1月1日つまり旧正月のことで、中国の人にとっては最も重要な祝日です。多くの人が春節期間に帰省したり旅行したりと民族大移動が行われます(TVでも放映してますね)。特に沿岸部の都市に出稼ぎに来ている人たちにとっては、年に一度故郷に帰って家族、親戚や友人と過ごすことのできる大変重要な時期です。さらにまたとない長期休暇であることから国内外の旅行に行く人も大変多いです。コロナ前にはこの春節休みを利用して中国から多くの人が日本に旅行に来ていましたね。

春節には家族親戚一同が集まって過ごすことがとても重要


昨年末にゼロコロナ政策からウィズコロナへ移行した中国。今年の春節にはのべ21億人の移動があると言われており、故郷へのお土産を売る商店などでは3年ぶりの活況に長蛇の列ができているとの報道をよく見かけます。私も中国で春節を過ごしたことがありますが、玄関に掲げる春聯(チュンリエン)と呼ばれる赤い縁起物の飾りつけを売る店で商品を選んだり、正月用の特別料理を買ったりすると中国の人たちのワクワク感を肌で感じられて嬉しかったものです。

玄関に掲げる飾りつけ春聯(チュンリエン)を売る店

中国ビジネスの中で気を付けなければならない春節休暇のことについてお話ししました。

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