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【イベントレポート】たくさんの卒業生が集まった「大野俊教授の最終講義」

2024年2月10日(土)地球市民学科の大野俊教授の最終講義が行われました。大野俊教授は「フィールドワークの50年―そこから見た日本と世界」をテーマに、フィールドワークを通して見てきた人々の生活様式と世界各地の文化、そしてそこから見えてくる日本との関係をお話しくださいました。

生物学を専攻されていた学生時代から、新聞記者としての海外駐在勤務を経て、研究者、そして大学教授として様々なフィールドでご活躍された大野先生の研究に対する情熱をたっぷりと聞くことができ、1時間半があっという間の最終講義でした。

大野俊教授の紹介をする学科主任の辰巳頼子先生

大野俊教授のフィールドワーカーとしての歩み

大野俊教授は、九州大学理学部にて生物学を専攻されていました。
卒業後は、毎日新聞社で22年半、記者として勤務され、この間、マニラ支局長やフィリピン外国人特派員協会会長を務められました。
新聞記者時代にアジア太平洋・欧米各国の多分野で取材や調査に従事した経験も、今回の最終講義でお話しくださいました。

その後、40代後半でご家族の応援のもと、オーストラリア国立大学にて博士号を取得。新聞記者としてジャーナリズムを追求されていた大野先生は、研究者としてフィールドを変え、ご自身の研究をさらに深められます。

そして2012年より、清泉女子大学地球市民学科の教授として、多くの学生と学びの場を共ににされてきました。新聞記者として経験された、リアルな体験談を生かした授業や、面倒見の良い優しい性格で、多くの学生から親しまれる先生でした。

そして大野先生の専門分野であるフィリピンでのフィールドワークは、大野先生の人脈をもとに、貴重な施設での調査や、現地学生と濃密な交流ができることが醍醐味で、学生からとても人気の授業となりました。

最終講義の様子

「フィールドワークの50年―そこから見た日本と世界」

学生時代に打ち込んだ「探検部」での経験から、現地に住み込み生活をしてく中で、その地で人々の暮らしや文化の違いに魅力を感じた大野先生は、日本国内だけでなく、インドネシア周辺を中心とした東アジア諸国を対象とした研究をすすめられました。

現地の人々と同じ空間で、食事をして、睡眠をとり、寄り添って研究することで、見えてくる人々の生活様式や、深い関係になったからこそ聞ける本音のお話を何よりも大切にされてきました。
 
実際に現地に住み込み、現地人と目線を合わせて調査を進める大野先生は、真の『フィールドワーカー』であると感じました。
 
また、調査・研究というものは一方的な行為ではなく、対象者とギブアンドテイクの関係であることが大切だというお話が印象的でした。
 
調査を一方的にするのではなく、調査する側も何か提供、それは肉体的な労働奉仕や、時には一緒にエンターテイメントを一緒に楽しみながら、良い時間を共に過ごすことでもあります。
そうして同じ目線になって、出来事を共有しながら親密な関係になってこそ、貴重な話が聞けることを大野先生は伝えてくださいました。
この考えは、大野先生はご担当された地球市民学科の授業「フィリピンフィールドワーク」でも大事にされていた考えです。

探検部時代の経験を語る大野俊教授

たくさんの人に愛された大野先生

日々、流れてくる情報を鵜呑みにすることなく、実際に自分の足で行動し、自分の目で見て学び感じることを大切にしていきたいと再確認することが出来た最終講義でした。

講義後の茶話会にも多くの方が出席し、大野先生を囲んであたたかく和やかなひとときとなりました。

茶話会では、同じく地球市民学科の教授である山本達也先生より「羨ましい」との感想をいただくほど、たくさんの学生に尊敬され、愛され、そしてご自身の研究に真摯に向き合う姿は、とてもかっこいいと思いました。

最後のゼミ生から花束の贈呈

今回の大野俊教授最終講義にご参加いただいた皆様、ありがとうございました。そして大野先生、長年の教員生活お疲れさまでした。
ありがとうございました。