チミちゃん

霊視鑑定しています。見かけた霊とか妖精とか、不思議なものとか。実体験を元にした短編を載…

チミちゃん

霊視鑑定しています。見かけた霊とか妖精とか、不思議なものとか。実体験を元にした短編を載せています。

最近の記事

囁かれた死

【囁かれた死】 私の周りは常にうるさい。 ラジオの周波数が上手く合わない時のようなピーピーガーガー音だったり、何十人いるんだってほどの話し声、誰かの叫び声(しかも無限リピート)と何かがぶつかるような音、などなど。ちょっと波長を合わせればそんなものばかり聞こえる。 街に出ればそれもまた多様になり、うるさくて仕方がない。たとえノイズキャンセリングのイヤフォンをしていても関係なく聞こえてしまう。自分の中のそういうセンサーのようなものを閉じてしまえば良い話なのだが、そうしてもす

    • 食べられた頭

      【食べられた頭】 近頃は昔ほどテレビで心霊番組や恐怖映像特集などを見なくなった。夏といえばホラー!という常套句すらあまり見かけない。その代わり、昨今ではタレントよりもYouTuberなどが心霊スポット巡りをすることが増えた。夏になるとその手の動画が某動画サイトにずらりと並ぶ。 心霊スポット。それこそ時代が変わっても衰えない魅力と耽美な誘いをまとうものはないと思う。 私も例に漏れず、何度かそういう場所を訪れたことがある。と言っても、個人的にはわざわざそんな場所にいかなくて

      • 玄関前の男

        【玄関前の男】 人は自殺したらその場所に魂が縛り付けられるなんて言うが、私はあまり信用していない。同じように事故死した人がそこに留まるというのも、全部ではない。いずれもその人達の性格と、状況によるというのが正しいと思う。 以前住んでいたマンションで毎日のように顔を合わせていた男は、まさにそのどちらかの状況だったのではないかと思っている。 独身時代のマンションはいわゆる単身者用で、学生もいれば社会人もいた。朝早く出かける人もいたし、夜中まで煌々と電気をつけている人も沢山い

        • 自転車の後ろ

          【自転車の後ろ】 私がまだ小学生の頃。 近所の塾に通うために、自転車をよく使っていた。何の変哲もない普通の自転車。当時のことなのでヘルメットなんか被っていなかったし、防犯登録もきちんとしていたかどうか定かじゃない。今思うと近すぎて自転車を使うような距離ではなかったと思うが、とにかく早く行って早く帰りたい私は毎週そのスタイルで通っていた。 真夏。 あまり晴れやかとは言えないどんよりとした天気で、生あたたかい風が脚を撫でる。何となく嫌な日だなと思ったのを覚えている。当時「花子

        囁かれた死