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人事異動を正攻法で希望を通せるか

結論

無理。

公務員は業務の属人化や不正防止のために必ず異動が発生します。だいたい3年から5年程度でしょうか。観光部局にいた職員が教育委員会に異動したり、公園部局の職員が水道に異動します。ほぼ転職に近いと評されることもありますね。個人的に転職ほどではないか無いと思いますが。
当然行きたくない部署もありますし、残留したいこともあるでしょう。そんな時にどうやって自分の希望を通すのでしょうか。

正攻法で人事異動で自分の希望を叶えるには

大抵の場合は、①評価と②申告を使って自分の希望を伝えます。

①評価

能力評価や業績評価の類です。能力評価は、その職位に求められる能力に対してどの程度自分の能力を発揮できているかを表すものです(例:企画力、調整力、対応力)。業績評価は、自分や組織が決めた目標に対してどの程度成果を上げられたかを表すものです(例:○○事業の予算を○○%カット、○○フェスタの来場者数○○達成)。こちらは組織の目標を見ながら自分で目標を決めて・・・というケースが多いと思います。能力評価も業績評価も、大抵の場合自分の自己評価を入れたうえで、上司が採点し、人事担当へ送られます。
あくまで評価だから自分で左右できないかと思いますが、自分が今年やる仕事に対して目標を設定し成果を報告したり、能力を評価するのではなく、自分が行きたい部署のことを念頭に置いて評価することが出来るでしょう。
例えば、総合計画とかの計画関係の部署に異動を希望するとします。求められることはマネジメント力や発案力、積極性といったところでしょうか。そこから逆算して今年の業務の中でそれらの評価軸や能力が発揮できる業務を抽出し、目標を設定します。窓口部署であれば、マニュアル化されていない業務をマニュアル化するとか、ミーティングを充実させるとかそんなところでしょうかね。無理やりこじつけましょう
目標は年度当初に設定することが多いでしょうから、4月のうちに決めましょう。

②申告

第3四半期とか第4四半期に人事希望の申告機会があると思います。ストレートに希望を書くことが出来ます。○○の資格を取得したのでここに動かしてほしいとか、そういうことも申告できます。他にも、家庭の都合(出産などのイベント)や、病気などにより、ここの部署は難しいとかの話ができます。また○○と上手くいかないので変えてほしいとも書けますね。
とにかく希望は書けるだけ書いて、それを裏付ける証拠をそろえることが大切です。

このように、①評価と②申告をうまく使いこなすことで、希望する部署に異動することが出来るでしょう。

そんなオイシイ話が……あると思うのか?

あるわけないでしょう

※以下の引用はなんとなくで他意はありません
例えば、千葉市を見てみましょう。

令和4年度人事行政運営等の状況の公表(千葉市)

ここを見てわかる通り、市長部局だけで4,600人います。企業でいえば大企業ですね。単純に考えて、4600人全員の希望が通ると思いますか

別の例を見てみましょう。袋井市です。

広報ふくろい令和4年12月号

袋井市の人数は広報によると539人。ここで注目したいのが、人事に関わるのが何人いるのかということです。

袋井市のホームページより

行政組織を見ると、総務部の総務課、人事研修係が担当のようです。人数がどう配置されているかまではわかりませんが、総務部の2課6班で109人です。109/6で人事研修係が仮に18人、そのうち人事案件に触れられるのが仮に3分の1だとしたら、6人が職員からの申告を見れることになります。
約500人の希望を、6人の職員で見ると一人あたり120人です。自分が人事担当だと思ってください。120人の希望をだいたい1~2か月ですべて拾い上げるのは至難の業ではないでしょうか

こうしてみると、数量的な意味で、単純に個人の希望を通すのが難しいということがわかるのではないでしょうか。
では実際どうやっているのか。各課の課長が面談して、現状の異動希望を各課長の主観ベースでまとめて、そしてすり合わせる際に問題(課題的な意味でも人的な意味でも)があるときに、申告書や評価を参照する、といったところでしょうか。なので個人の希望よりも、組織の希望を優先するのは当たり前だと言えるでしょう。

では、どうしても自分の希望を通したい場合はどうすればいいのか、いずれ書きます。

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