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ひの
2021年9月13日 03:36
普段なら脚立の二段目からでも下を見て体が震えるのに、その夜は高さを求めたくなった。その衝動を意図して飛び込んだライブハウスで確かな高揚感を持ち帰り、20時過ぎの湿った空気を吸った。火の消えていないタバコが路上に落ちていた。人の目を気にしながら咳をする自分を俯瞰で見た途端に、現実に引き戻されてしまった。願うなら出会したくなかった悲観的な現実からの逃避行は、こうして誰かの行き届かない処理によっ