小さな灯りとライターと

 幸せは蝋燭に灯る小さな火のようなもの。風が吹くたび揺れる火を見て一々怯えなければならないぐらいなら、私は自分で吹き消してしまう。
 たとえ自分の手にライターがあっても、それがいつでも点くとは限らない不良品だとしたらどうだろう。その上、蝋燭があと何本残っているのかも分からないとしたら?心許なくて仕方がない。いつもそんな気分だ。
 眼が慣れるのを待って、障害物が無いか辺りを見回す。自分を脅かす存在が近くに居ないか常に気を巡らせる。
 でも、そんなこといつまでも続けられることじゃない。疲れてしまう。ならばじっとして目を閉じている方がきっと安全だ。そんな風につい考えてしまう。

 朝日はまだ登ってこない。今日も長い長い夜が始まる。

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