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読書感想文

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#歴史小説

【感想】ザ・カルテルが凄いので、物書きならば読んで欲しい話

 前作「犬の力」を読み終えた僕は、一息で「それは、欲望という名の海」を書き上げた。  その作品はアルファポリスの眼に止まって受賞。そして刊行後はデビュー作ながら、日本歴史時代作家協会の文庫書下ろし新人賞を得た。  その「犬の力」を読み終えた時、僕はこう感想を記した。 ――衝撃である。 それほどの作品だった。海外文学が僕の創作領域に突然現れ、眠っていた脳味噌を叩き起こしてくれた。 まさに黒船来航。 この作品は、僕の物書きとしての人生を左右する一冊になるであろう。 万人にお勧

【読書記録】吉良忠臣蔵(森村誠一)

読了日:2015/10/06 <あらすじ> 「浅野内匠頭、吉良上野介に刃傷」の報は江戸中を駆け抜けた。将軍綱吉の裁決は、「内匠頭切腹。吉良お構いなし」。この偏裁に浅野家中の遺恨は集まり、大石内蔵助は復讐の刃を幕府の覇権に向けていく。しかし、刃傷沙汰のはるか前、事件を導く罠は静かに張り巡らされていた―。綱吉の側用人・柳沢吉保、上杉家の江戸家老・色部又四郎、赤穂藩浅野家の家老・内蔵助。卓越した3者による権謀術数が渦巻く、忠臣蔵の真実とは!? <感想> 吉良から見た、元禄赤穂事

【読書記録】凶刃―用心棒日月抄(藤沢周平)

読了日 2021/12/15 <あらすじ> 好漢青江又八郎も四十半ば、若かりし用心棒稼業の日々は今は遠い……。国許での平穏な日常を破ったのは、にわかの江戸出府下命だった。姿なき敵との凄絶な対決をむかえる用心棒シリーズ最終作。 <感想> 寂寥感しかなかった。 本作は藤沢の看板シリーズ「用心棒日月抄」の4作目にして、最終巻になる。 これを読んでしまえば、もう青江又八郎や細谷源太夫に会えないと思うと、中々手が伸びなかったし、読み終えたあとの寂寥感たるや。 しかし、寂しいのはそれ

【読書記録】孤剣―用心棒日月抄(藤沢周平)

読了日 2016/03/11 <あらすじ> 藩主毒殺の陰謀の証拠書類を持って姿を消した者がいる。藩取り潰しを目論み、公儀隠密も暗躍する。お家の危機を救うべく密命を帯び、青江又八郎は再度脱藩した。所は江戸、用心棒稼業で糊口を凌ぐ日々、目指す書類は何処に――。 用心棒の行く先々で、次々起こる怪事件を、江戸に生きる人々の人情に織りあわせて描く、時代小説の魅力を鏤(ちりば)めた長編小説。シリーズ第二作。 <感想> シリーズ第二作。読み終えた時、孤剣とは何だろうか、と考えた。 孤独